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マイナス金利導入! 安全志向の個人がとるべき運用スタンスとは!?
菱田 雅生  ⇒プロフィール

平成28年1月29日、ついに日本銀行は追加の金融緩和策として「マイナス金利」の導入を決定。発表と同時に日経平均は500円近く上昇。ドル円は3円近く円安に。長期金利は一時0.1%を切るという過去最低記録を更新する動きになった。今回の追加の金融緩和策が個人の資産運用などにどのような影響を及ぼすのか、考えてみたい。

▼マイナス金利という言葉のインパクトは大きい


日銀がこれまで3年近く継続してきている「異次元的金融緩和策」。

簡単に言えば、日銀が従来とは次元の違うレベルで市場にお金をジャブジャブ流すことで、特に金融機関にとってのお金余りの状態を作り出し、金利を低く抑えつけるのと同時に、さまざまな企業への融資や市場への投資を促す政策である。

 

これまで日銀は、平成25年1月のインフレターゲット(年2%の物価上昇目標)設定、平成25年4月の量的・質的金融緩和(異次元的金融緩和)導入などによって、当初は2年程度を目処にインフレターゲットを達成すべく金融政策を実行していた。

しかし、なかなか達成できる状況にならないため、追加策がどんどん打ち出されてきたのだ。

 

そして、今回の追加策である「マイナス金利」という言葉のインパクトは非常に大きいといえるだろう。

仮に、預貯金金利がマイナスになるとしたら、預金者は、預金残高に応じた利息を支払わなければならない状態になる。

 

また、住宅ローン金利がマイナスになるとしたら、住宅ローンの返済者は、借入金額よりも少ない返済額でローンの返済が終わることになるのだ。

預金者が利息を支払って、ローンの返済者が利息をもらえるような状態。これまでの常識から考えると異常事態である。

 

  

▼本気度をさらに高めた日銀


とはいえ、今回のマイナス金利は、銀行などの金融機関が決済のためなどに利用している日銀の当座預金について、一定の残高を超える部分のみ、金利をマイナス0.1%にするというもの。

 

したがって、預貯金金利や住宅ローン金利がマイナスになるような話ではない。

当然ながら、我々一般個人の生活に直接的に影響が出るという話ではないだろう。

 

しかし、日銀の本気度は伝わってくる。

実際に、日銀から公表された資料には、『今後は、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めていくこととする』とあった。

日銀は、本気度をさらに上げて物価上昇率2%というインフレターゲットの達成、デフレ脱却を目指すということだろう。

 

つまり、このことは、我々一般個人の生活にも間接的に影響が出てくることを意味している。株価上昇、物価上昇、景気拡大、賃金上昇など、いい方向に影響が出ることを願いたい。

 

 

 

▼大和投信のMMFは購入申し込み当面中止


実際にマーケットは、マイナス金利という言葉の持つインパクトに素直に反応したように見える。

株価上昇、円安、金利低下などが起き、特に、債券市場では、日本証券業協会が公表している公社債店頭売買参考統計値(2月1日分)を見ると、マイナス金利の影響がすぐに表れていた。

 

すでに発行されて売買されている長期国債の利回りが、平成35年12月20日満期(残存期間約8年)のものまでマイナス状態(-0.014%)なのである(残存8年未満の国債はすべて利回りがマイナス!)。平成36年3月20日満期のものがようやく利回り0%で、平成36年6月20日満期のものが利回り0.015%と、残存約8年半で初めてプラスの利回りになる状態なのだ。

 

このような状況は、個人の資産運用にも多かれ少なかれ影響が出てくる。

 

実際に、大和投信の中期国債ファンドやMMFなどは、2月1日から購入の申し込みを当面の間中止するとしている。

中期国債ファンドやMMFは、満期までの期間の非常に短い債券で運用している投資信託であるため、組み入れる債券のほとんどがマイナス利回り状態だと、安定的な運用はできないだろう。

他社のMMFなども追随する可能性は十分に考えられる。

 

また、満期の長めの債券で運用されている投資信託にも影響は必ず出るだろう。

ファンドがすでに保有している債券の価格は、利回りの低下によって上昇するので、基準価額の上昇要因と考えられる。

 

しかし一方で、これからファンドに組み入れようとする債券の利回りがマイナス状態になっているものが多いわけなので、今後の収益率は低下していくことが予想できる。

 

同様に、確定拠出年金(DC)において、元本確保型商品や国内債券型の商品を利用している人は、今後の収益率低下に対する心の準備をしつつ、あらためて内外の株式やその他の資産などへ幅広く分散したポートフォリオを作っておくことを心がけるべきだろう。
 
10年満期の国債の利回り(長期金利)が0.1%を切るような誰も過去に経験したことのない状態である。資産運用の基本的な考え方は変わらないとはいえ、さまざまな事態に備えられるような運用スタンスを取りたいものである。

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