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コラム

- 「海賊とよばれた男」がもっと楽しめる!原油の話 PartⅡ

2016年 第4回 石油備蓄~戦前と今~
三次 理加  ⇒プロフィール

「海賊とよばれた男」は、石油を武器に世界と戦った日本人を描いた歴史経済小説。 皆さんは、日本の石油備蓄がどのくらいあるか、ご存知ですか?

1)戦前の石油備蓄

 

第二次世界大戦開戦前、日本は、石油の9割以上を輸入に依存していました。最大の輸入先は米国で、輸入量の81.1%を占めていました。

 

米国による「石油禁輸」を受けて、日本は生命線である石油を絶たれ、昭和16(1941)年12月8日、米国の真珠湾を攻撃します。

 

この開戦時、日本にはどの程度の石油備蓄があったのでしょうか?

 

この当時の石油備蓄量は、実は、はっきりした数値がないようです。昭和16(1941)年9月軍部作成の資料によれば970万キロリットル、同年11月5日に御前会議で説明された備蓄量は840万キロリットルでした。(注1)この数値は、開戦前の消費量400~470万キロリットルで考えると、およそ1年半程度の量です。

注1:数値は『石油で読み解く「完敗の太平洋戦争」』岩間敏/著 朝日新書

 

2)現在の石油備蓄

 

それでは、現在の我が国の石油備蓄は、どのくらいあるのでしょうか?

 

わが国の石油備蓄制度は、国が保有する「国家備蓄」、石油備蓄法に基づき石油精製業者などが義務として備蓄する「民間備蓄」、さらに「第3の備蓄」と呼ばれる「産油国共同備蓄」で構成されています。

 

国家備蓄は、国家石油備蓄基地や民間のタンクを借り上げて保有しており、そのほとんどが原油です。

 

石油精製業者等は、石油備蓄法により、民間備蓄として常に70日以上の石油在庫を保有しています。国家備蓄の補完的な役割である民間備蓄は、製油所、基地、油槽所において、原油と石油製品がほぼ半々の割合で備蓄されています。ちなみに、民間備蓄があるために、原油価格が変動すると、図表2の通り、各社の在庫評価に影響が出てきます。石油精製業者等へ投資する際は、原油価格も要チェックですね。

産油国共同備蓄とは、アラブ首長国連邦とサウジアラビアとの間で2009年以降開始した備蓄制度で、日本国内のタンクにおいて産油国国営石油会社が保有する在庫について、危機時に日本企業が優先供給を受けることが保証されたものです。

 

資源エネルギー庁が毎月公表する「石油備蓄の現況」平成28(2016)年7月発表資料によれば、平成28(2016)年5月末現在の我が国の石油備蓄は、国家備蓄4,975万キロリットル、備蓄日数124日分(IEA基準:105日分)、民間備蓄3,387万キロリットル、備蓄日数86日分(IEA基準:75日分)、産油国共同備蓄113万キロリットル、備蓄日数3日分(IEA基準:2日分)合計8,475万キロリットル、備蓄日数213日分(IEA基準182日分)です。

 

なお、石油備蓄法では国内の石油消費量をもとに備蓄日数を計算します。IEA(=International Energy Agency、国際エネルギー機関。)方式とは備蓄量の計算方法が異なるため、数値が異なってきます。

 

上記をみると、備蓄量自体は、戦前の10倍近くの数量ですが、備蓄日数で考えると、戦前より現在のほうが備蓄量は少ないことがわかります。

 

ご存知の通り、現在の日本は、原油のほとんどを輸入に頼っており、中東依存度は82%(2015年数値)です。輸入依存先が戦前は米国、戦後は中東と変化し、また、輸入・消費量、備蓄量も数値が全く異なる戦前と現在ではありますが、石油をめぐる日本の脆弱な状況は、今も昔も変わっていないどころか、供給が途絶した場合は、現在のほうが厳しい状況になるだろう、ということがわかりますね。

 

次回は、日本の石油である「臭水」です。お楽しみに。

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