【2012年 第1回 女性と相続】女性のための幸せ相続を考える
マイアドバイザー®事務局 株式会社優益FPオフィス
立場が変われば相続も変わる!女性の相続と幸せの関係とは。
妻として、母として、娘としてなど、女性は一生の間に様々な立場で何度か相続を経験します。
一般的に男性よりも寿命の長い女性は、相続に関わる場面も必然的に多くなると言われています。
結婚している人であれば、自分の両親だけでなく夫の両親、夫、そして自らが亡くなる側としての相続も合わせると合計6回です。これに加え、兄弟姉妹の1人として、孫としての立場などでも相続を経験するケースがあろうかと思います。
また最近は、結婚観や家族のあり方そのものに変化が見られ、一生シングルでいる人や結婚しても籍を入れない人、子どもを持たない人、離婚して一人で子どもを育てている人など、様々な生き方を選ぶ女性が増えつつあります。
家庭の状況や考え方がより多様化、複雑化していけば女性の相続への関わり方もまた変わっていくものと思われます。
相続とは何か?
ところで、そもそも相続とは何か?についてお話しておきたいと思います。
人が亡くなると、その人と一定の親族関係にある人が残された財産を引き継ぐことになります。このことを「相続」といい、財産だけでなく、その人の持っていた権利や義務などの法的立場をそっくり(一部を除く)そのまま引き継ぐ(=承継)ことになります。
相続は、お金持ちの人もそうでない人も、性別も年齢も関係なく、誰にでも必ず起こるもので、人の死亡によって自動的に、瞬間的に法定相続人という法律で決められた一定の人達が財産・権利・義務などを共有で引き継ぎます。
かつて家督相続制度が敷かれていた時代には、相続が起きても家督を引き継ぐ者1人が全ての権利や義務を引き継がなければならないとされていましたので、財産や権利をめぐっての争いが起きる余地はありませんでした。
これに対し現在では、法定相続人がそれぞれ決められた割合で引き継ぐ権利を持ち、相続人同士でその割合について話し合いで決めることも、一部または全部を引き継がないことを選択する権利も保障されています。
相続人が増えるほど話し合いはまとまりにくくなり、うまくいかない場合には家庭裁判所に申し立てをして調停という話し合いの場を設けることになりますが、女性が調停事件の当事者となった場合、その相手方は義父母であったり夫の兄弟姉妹、先妻の子であったりと、さまざまなケースが考えられます。
相続についての理解を深め、適切な準備や対応をとることで、自分の財産や生活や家族を守ることができ、それは自分らしく幸せに生きるということにもつながります。長寿の国日本にあっては、平均寿命の長い女性こそこうした知識を持つことがより求められていると言えるでしょう。
社会的にも経済的にも女性の自立が進みつつある世の中ではありますが、いざ相続が起きると、立場次第では生活に影響を受けやすいのもまだまだ女性が多いのが現状です。
相続制度は幾度かの改正を経て、かつて旧民法の時代には法的に「無能力者」と位置づけられゼロだった妻の相続権は、その後遺産の3分の1、そして現在の2分の1へと変遷を遂げ、妻に有利なものとなりました。また、このことはその反面、妻という立場にない女性にとっては不都合な側面があると見ることもできます。
相続が起きたとき、女性はどのような立場でそれに関わることになるのか
相続が起きたとき、女性はどのような立場でそれに関わることになるのか。
どれだけの権利があり、誰と相続(遺産分割)の話し合いをし、手続を進めていくのか。
自らが最期を迎えるとき、遺された者の相続はどうなるのか。
本コラムでは、女性が相続を考える時、あるいは相続に直面した時に起こりうる問題点やトラブルなどについて、様々な立場の女性を例にとり、法律面の知識なども交えながらそれぞれの女性の視点で見ていきます。
相続への対応は明確な正解が1つあるというものではなく、必ずこうしなければならないといった答えをご紹介するものではありませんが、女性にとって幸せな相続とは何かについて知り、考えるきっかけの1つとなりましたら幸いです。
次回より、具体的に見ていきましょう。
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