【2012年 第5回 離婚再婚を繰り返したおひとり様には危険が潜む】おひとりさまの保険年金
マイアドバイザー®事務局 株式会社優益FPオフィス
個人相談を受ける中で、昨今の家族関係は色々あると感心しているが、「おひとり様」でも結婚履歴があったり、ご相談にこられたご夫婦がどちらも再婚もしくは再々婚だったりと一括りにできない現状があります。離婚をすると、年金も分割される時代。安易に離婚再婚を繰り返すと、老後には危険が潜んでいるのです。
3号分割って?
離婚をすると、婚姻期間中の厚生年金が分割されるということを、ご存知の方も多いでしょう。
ただ、詳細については曖昧なはず。
万が一離婚になった場合でも、思い込みでなく、正しい知識を持っていたいものです。
まず、年金分割のうち三号分割について知っておきましょう。
「三号被保険者」というのは、厚生年金もしくは共済年金に加入している被保険者に扶養されている配偶者のことを言います。
この離婚の場合は、強制的に厚生年金加入中の婚姻期間が半分に分割されます。
3号被保険者であった配偶者が、夫であろうが妻であろうが、一旦請求されると拒むことはできないのです。
この場合の注意点はいくら拒否をしても、結局は法律で50%按分と決められているので、無駄な抵抗はしないようにというところでしょうか。
合意分割って?
次に、合意分割について知っておきましょう。
このケースでは、夫婦ともが、厚生年金もしくは共済年金加入中ということも考えられます。
合意分割できる年金の上限は、二人の標準報酬の合計額の50%です。
という事は、妻の方が給料が高いケースで、半分ずつの按分割合で合意であれば、妻の年金が夫の年金に加算されることになってしまうこともあるでしょう。
共働きのご夫婦の場合、生活費は決められた額ずつを出し合い、残りは全額お小遣いというケースもあり、相手の収入を正確に把握していない事も少なくありません。
お互いに第二号被保険者であった期間がある場合には、くれぐれも結婚が破綻する前に、調べておくことをお勧めします。
離婚後に調べると請求するつもりのない相手方にも連絡がいきますので、
余計な波風が立つこともあるでしょう。
知らない相手に、あなたの年金が支給されるなんて!
ここでちょっと意外な事例を披露しておきましょう。
夫が厚生年金加入中に専業主婦の妻と離婚し、半分ずつの按分割合で年金を分割すると、この妻は厚生年金に加入したことがなくても、厚生年金の受給権をも得たことになります。
その妻が、その後自営業者と結婚した後に亡くなってしまうと、その再婚相手に厚生年金の受給権がなかったとしても、妻の厚生年金が遺族年金となって再婚相手に支給されるのです。
如何でしょうか?
見たこともない別れた妻の夫に自分の年金が支給されるなんて、何だかムッとするのではないでしょうか。
結婚するのも離婚するのも自分の意思次第といえるでしょうが、こんなデメリットを聞いてしまうと、もっと慎重になどと思うのではないでしょうか。
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