お金の増やし方【2012年 第6回】

【2012年 第6回 お金の増やし方】高校生のためのパーソナルファイナンス入門

長谷 剛史(ハセ タケシ)⇒プロフィール

前回は「お金の貯め方」というタイトルで、お金を貯める目的や利息がつく2つの方法等をお伝えしました。今回は、「お金の増やし方」について一緒に勉強しましょう。

 

 

 

 

 

 

お金を増やすための商品=金融商品の3つの特性

まずは、お金を増やすための商品=金融商品の3つの特性を見ていきましょう。

1、流動性…すぐにお金に換えることができるかどうか

2、安全性…お金が減ってしまうことがないのかどうか

3、収益性…お金が増えていくのかどうか

3つとも満たす金融商品はあると思いますか?残念ながらありません。だから、目的に沿った金融商品を選択することがとても重要になります。

例えば、毎日の生活に使うお金は、いつでも引き出せるようにしておかないと困りますので、流動性の高い商品を選択したほうが良さそうですね。また、皆さんの授業料のように1年後の使い道が決まっているお金は、お金が減ってしまうと大変ですので、安全性の高い商品を選択していくことになります。それ以外のお金については、収益性を重視した商品を選択してもいいでしょう。

 

金融商品の代表的なもの

そして、金融商品の代表的なものには、株式・債券・投資信託の3つがありますので、これらの商品の特徴を見ていきましょう。

株式…例えば、誰もが知っているトヨタ自動車は株式会社になります。この会社を応援したいと考えた場合、株式を購入するためにお金を支払い、その代わりに会社を応援する会員になることが株式に投資すること、と思ってもらえればわかりやすいのではないでしょうか?

また、株式に投資することの目的は2つあって、それは「値上がり益」と「配当金」です。株式は専用の市場で売ったり買ったりできるので、株式の値段である「株価」が安いときに買って高いときに売ると「値上がり益」が出てお金が増えます。また、トヨタ自動車が順調に利益を増加させれば、利益の一部についてお金を出した割合に応じて「配当金」としてお金が分配されます。

債券…国や会社が発行する「借用証書」になります。例えば、国が発行する債券を国債と呼びますが、国債に投資するということは、皆さんが国にお金を貸してあげて一定期間後に貸したお金と貸していた期間の利息をもらうという約束が書かれているのが借用証書=債券です。

債券を発行した国や会社が破綻してしまうと、借用証書に書かれた金額は戻ってこないことになるので、お金を貸しても大丈夫なのか?という視点が大切です。

投資信託…漢字のとおり、投資についてプロを信じてお金を託す金融商品です。多くの方から集めたお金を、プロが日本や外国の株式・債券・不動産等で運用してくれる商品で、投資した人には運用の成果が分配されます。

投資を始めたいけれども、株式・債券等具体的に何に投資したらいいのかわからないと言う方には向いていますね。

また、個人で株式・債券に投資しようとすると、まとまったお金が必要ですが、投資信託は1,000円程度から始められるというメリットもあります。

株式・債券・投資信託の特徴を見ましたが、株式は収益性がありますが安全性は乏しいですし、債券は株式に比べ収益性は劣りますが、安全性は比較的高いです。投資信託は株式に比べ収益性は劣ります。つまり、資金の目的に合った商品を選択する必要がありますね。

最後に、「リスク」という言葉の意味ですが、よく「危険」・「お金が減ること」と思っている人も多いですが、お金を増やすうえでの「リスク」は、そういう意味ではありません。「リスク」とは予想に対する結果のフレ幅のことを言います。

例えば、皆さんが銀行にお金を預けて1週間後にお金が半分になることはありますか?ないですよね。予想と結果が同じですので預貯金はリスクが小さいと言います。株式はどうでしょう?予想通りにいかない場合が多く、予想より大きくお金が増える可能性・減る可能性が高いですからリスクが大きいと言います。

リスクが小さくてリターンが大きい商品はありませんので、注意してくださいね。皆さんの人生計画=ライフプランに沿った商品選択をすることが一番大切です。

次回は、「お金を借りる」ことを見ていきますので、楽しみにお待ちください。

○  今月のお金に関することわざ 

「金は天下の回りもの」⇒ お金は人から人へ渡っていくもので、いずれまた回ってくること。また自分だけのものではないということ。

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