【2012年 第9回 商品ファンド】若者&奥様のための「商品投資入門」
三次 理加(ミツギ リカ)⇒プロフィール
商品ファンドとは、投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家が貴金属、エネルギー、農産物などの商品市場に分散して運用。その利益を投資家に分配する」という金融商品です。
これだけを聞くと、「商品に投資する投資信託と同じでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
第7回で紹介したように、我が国で初めて「商品に投資する投資信託」が発売されたのは、2004年の暮れ。また、2008年の規制緩和により投資信託でも商品先物へ投資できるようになりましたが、それまでは商品や商品先物市場に直接投資できるファンドは、商品ファンドしかありませんでした。
商品ファンドって、なあに?
国内初の商品ファンドは、1988年に大手商社が輸入販売しました。
商品ファンドは、商品投資の専門家である商品投資顧問業者(CTA=Commodity Trading Adviser)が、主に商品先物市場を中心に運用を行い、利益を投資家に還元するという実績配当型金融商品です。投資先としては、貴金属、エネルギー、農産物などのいわゆる狭義の商品先物取引のほか、現物商品、金利・通貨・株価指数等の金融先物取引も含まれます。
「商品に投資する投資信託」と商品ファンド、どう違うの?
実は投資信託と商品ファンドとでは、その根拠となる法律が異なります。ともにその販売に関する事項については「金融商品取引法」により規制されています。加えて商品ファンドは、基本的なコンセプト等については「金融商品取引法」並びに「商品投資に係る事業の規制に関する法律(商品ファンド法)」により規制されています。一方、投資信託は「投資信託及び投資法人に関する法律」により規制されています。また、投資信託は主として有価証券に投資しますが、商品ファンドの主たる投資対象は商品です。
商品ファンドの特徴とは?
一般的な「商品に投資する投資信託」に比べ、商品ファンドには、以下のような特徴があります。
①価格の上昇・下落局面のいずれでも収益追求ができる
一般的な商品ファンドの場合、「相場の下落局面でも利益を追求できる」という特徴があります。たとえば、一般的な投資信託は、特定のインデックス(=ベンチマーク)に対する「相対リターン」を追求します。そのため、一部の投資信託を除き、価格上昇による収益を期待するものがほとんどです。
一方、商品ファンドは、ベンチマークを設定せずに価格の上昇・下落のいずれをも収益機会とし「絶対リターン」を追求します。これは、主として商品先物取引で運用するから可能となることです。
ただし、最近では、ここ数年にわたる商品価格の上昇傾向に伴い、価格の上昇・下落をそのまま収益に反映させるインデックス型商品ファンドも増えてきています。
②少ない資金で大きな取引!
商品ファンドは、主として商品先物取引で運用を行います。商品先物取引は、総取引金額の3~10%程度の資金で取引を始められるという特徴があります。そのため、資金効率が非常に高いといえます。
商品ファンドは、このような商品先物取引の特徴を活かした運用を行うことが可能です。ただし、商品先物取引とは異なり、投資家が追加資金の心配をする必要はありません。
なお、商品ファンドは、「金融商品取引法」施行以前は、「商品ファンド法」により「契約締結時交付書面」を受領した日から10日間のクーリング・オフが適用されていました。つまり、一旦契約したものであっても、10日以内であれば無条件で契約を解除することができました。現在の「金融商品取引法」においては、クーリング・オフの適用はありません。業者の任意によりクーリング・オフ制度を採用していた時期もありましたが、現在では、クーリング・オフ制度を採用している商品ファンドはほとんどありません。
商品ファンドはどこで売っているの?
商品ファンドの販売の中心は、商品先物会社です。50万円または100万円程度から購入できるものがほとんどですが、最近は10万円程度から購入できるファンドも増えてきました。また、月額1万円から積み立てできる積立型商品ファンドも登場しています。
ここ数年、「商品に投資する投資信託」の設定本数が増えるのと反比例するように、商品ファンドの設定本数は減少傾向にあります。「商品に投資する投資信託」と商品ファンドは、ともに「商品」を投資対象とする金融商品ですが、その運用手法は異なります。それぞれの特徴をよく理解したうえで、投資を検討するようにしましょう。
次回は、ハイリスクな商品投資について紹介します。お楽しみに。
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