【2012年 第10回 おひとりさまの年金づくり】おひとりさまの保険年金
マイアドバイザー®事務局 株式会社優益FPオフィス
前回に引き続いて、老後の年金パートⅡです。
今回は、雇用保険と年金などの公的給付をできるだけ受け取るための要件をお話しします。
定年が来れば、もう働きたくない気持ちはわかりますが、誰にも頼れないおひとり様だからこそ、元気なうちに少しでも勤労収入を受け取っておくことが大事なのです。
雇用保険は失業のときだけではない
雇用保険で一番利用されるのは、失業した場合受け取れる「基本手当」でしょうが、
実は、それ以外にもいろいろな給付があります。
親兄弟などの家族を介護するために休業した場合の「介護休業給付」、失業したものの、基本手当の残日数があるまま再就職した場合の「再就職手当」、60歳以上65歳未満の間、雇用を継続されながら受け取れる「高年齢雇用継続給付」、厚生労働省が指定した講座を修了すると受け取れる「教育訓練給付」など、要件を満たせば受け取れる給付は、案外あるのです。
「介護休業なんてとらない」と思いつつおひとりさまで親から自立して過ごしていても、親兄弟との縁は切れません。
歳をとって介護が必要になった家族の世話は、他人に任せるよりもまず、自分で少しでも行いたいと思うのは、家族としての当然の感情と言えます。
平成24年7月から、育児介護休業法が改正されたことで、就業規則の見直しをしている企業は多いですが、まだまだ介護休業給付の恩恵を受ける労働者は少ないと言えます。
最大93日まで介護休業をとりながら、雇用保険から賃金の40%相当の給付を受け取れることができます。
いったん、介護休業を取り、それ以上介護が長引くようであれば、施設に入所してもらう、ケアサービスを受けるなど介護しながら考えられる猶予ができるのがメリットと言えるでしょう。
勉強するとき使いたい教育訓練給付
60歳の定年を目前にした方に聞くと、60歳までにしておけばよかった勉強と言えば、「語学」、「パソコン」などいろいろなことが飛び出します。
60歳を超えても、働ける限り働きたいのであれば、いくつになっても勉強するのは遅くないはずです。
厚生労働省が指定した講座(HPで検索可能)を修了すると教育にかかった費用の20%が支給されます。
注意していただきたいのは、支給する際、「修了証明」が必要なことです。
申し込んで勉強をはじめたものの、「や~めた」となれば、全額自己負担となってしまいます。
高年齢雇用継続給付は年金と併用して使う
老後の安心生活のための給付の柱のひとつは、間違いなく高年齢雇用継続給付と言えます。
60歳以降賃金が下がったとしても、支払われる賃金の、最大15%が支給されますので、賃金、年金、給付金の3つの収入を得ることが可能です。
賃金が下がっても、ボーナス代わりに退職手当を増やしてもらうなど、会社との交渉をし、年金額との調整がされない手当をいただくことで、ライフプラン全体から見れば意外にデメリットは少ないのです。
数年前までは、再就職手当と高年齢雇用継続給付が併給されていたり、教育訓練給付が教育にかかった費用の80%支給となっていたり、公的な制度が「おいしい」時期もありました。
公的な制度を知りつつ、改正にも目を配ることで、おひとり様であっても、安心老後生活を送ることは不可能ではないのです。
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