女性のための年金10か条【2013年 第12回】

【2013年 第12回 女性のための年金10か条】女性のための社会保険アドバイス

菅野 美和子 ⇒プロフィール

届いたねんきん定期便をみていない、年金制度はむずかしそうという声をよく聞きます。確かに公的年金制度は複雑ですが、私たちに深くかかわる制度です。女性特有の仕組みもあります。今回は、女性のための年金10か条をお届けします。損をすることなく、上手に年金制度を活用しましょう。

 

公的年金のポイントを10か条

女性の視点から、公的年金のポイントを10か条でまとめてみました。

第1条  未納はやめましょう

全国民に共通する老齢基礎年金は40年間保険料を納めて778,500円(平成25年10月以降)です。納付月数が短ければもっと少なくなりますし、保険料納付期間や免除期間などが25年なければ、そもそも年金はもらえません。これまでの保険料が払い損になってしまうこともあります。

また、未納状態が続くと、病気やケガで困ったときに、障害年金がもらえなくなることもあります。

第2条  免除制度を上手に利用しましょう

 

お勤めしている人やその配偶者は別ですが、それ以外の人(20歳以上60歳未満)は国民年金の保険料を納付しなければなりません。失業中などで、月額約1.5万円の保険料を払うのが大変なときもあります。

そこで国民年金には保険料免除制度が用意されています。必ず認められるとは限りませんが、未納のままにしないで免除を申請することも大切です。

第3条  第3号に別れを告げるときは思い切りよく

サラリーマンや公務員の妻に扶養されている妻(20歳以上60歳未満)は、第3号被保険者として国民年金に加入するので、国民年金保険料負担はありません。

ずっと扶養のままであればお得な気もしますが、老後に保障されているのは、1ヵ月約6.6万円(40年加入の場合)の基礎年金だけです。働くことを希望している人は、思い切りよく第3号に別れを告げて、厚生年金加入による上乗せ年金を考えてもよいのではないでしょうか。

第4条  記録を伸ばして年金額を増やしましょう

 

老齢基礎年金や老齢厚生年金は、保険料を納付した期間が増えれば年金額も増える仕組みです。加入期間を増やすことで老後の年金を増やすこともできると考えるといいでしょう。
強制加入なので、「どの年金制度にも加入しない」という選択肢はありませんが、プラス思考で考えてみましょう。

第5条  夫婦の年金はこの先「期待薄」と考えましょう

年金制度には夫婦を優遇する仕組みがあります。年金の配偶者手当としての「配偶者加給年金額」や、配偶者加給年金額が支給されなくなったあとに支給される「振替加算」です。
しかし、配偶者加給年金額に該当するのは年下の妻のみですし、振替加算も若い人は対象外です。

 

第6条  自分の年金を確保しましょう

 

何が起こるかわからないからこそ、自分の年金で将来の暮らしに備えることを考えておきましょう。

公的年金での不足を補うために「自分年金」を作っておくことも大切です。シングル女性はもちろんのことですが、妻である女性にとっても自分年金は必要です。

第7条  年金分割に大きな期待をするのはやめましょう
離婚を考えることもあります。その結果、離婚を決めることもあります。しかし、年金分割だけでは離婚後の生活は成り立ちません。
夫がサラリーマンで妻が専業主婦という場合は、年金分割で妻の年金額は増えますが、それだけに頼ることはできません。
第8条  厚生年金を好きになりましょう

 

厚生年金に加入したくない、夫の扶養のままでよいという人も多いのですが、厚生年金は上乗せ年金を作る制度です。

保険料負担はありますが、少しでも年金を増やしたいと考えるのなら、前向きに考えてみてもよいのではないでしょうか。

第9条  遺族年金での不足を準備しておきましょう

夫婦の場合、夫に万が一のことがあれば遺族年金がその後の生活の支えとなります。しかし、遺族年金だけでは十分ではありません。

特に自営業夫婦は要注意!
自営業の夫が死亡した場合、夫の保険料納付期間に問題がなければ、子どもがいる妻は遺族基礎年金を受け取れます。しかし、子どもが高校を卒業すれば、そこで終了です。
一番お金がかかる大学生のときには何もないということになります。万が一のことを考えて準備をしておくことは必要ですね。

 

第10条  自分の年金記録はしっかりチェックしましょう

保険料を納めたのに記録がないということでは、受け取る年金で損をしてしまいます。まだまだ持ち主のわからない記録は残っています。損をしている人がたくさんいるということですね。

自分の記録はしっかりチェック! それが年金で損をしない大切なポイントです。

では、10か条に基づいて、これからのあなたの年金を考えてみてください。

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