【 2009年 第 5 回 】都道府県単位健康保険料で、私の保険料はどうなる? 社会保険
菅野 美和子(スガノ ミワコ)⇒プロフィール
全国一律から都道府県単位の保険料率に変更
都道府県単位の保険料率は、9月分の保険料(一般の被保険者については10月納付分、任意継続被保険者については9月納付分)から変更となります。
現在、協会けんぽの保険料は全国一律で、8.2%です。40歳以上65歳未満の人には、介護保険料率1.19%が上乗せされます。
9月より、保険料率が全国一律から都道府県単位となります。医療費が全国水準を上回るほど、保険料率は引き上げられ、逆に全国水準を下回ると引き下げられます。
都道府県単位の保険料率の設定に際しては、地域間の医療費や所得水準の違いがそのまま反映されるのではありません。健康保険制度は「相互扶助」の制度であるという観点から、年齢構成の違いに伴う医療費の差や所得水準の違いは、都道府県間で相互に調整した上で、保険料率を設定することとなっています。
新しい保険料率に円滑に移行できるように、平成25年9月までは、都道府県間の保険料率の差を小さくした上で、保険料率を設定することとなっています。平成21年度は実際の保険料率と全国平均の保険料率との差が10分の1に調整されています。
一番高いのは北海道で8.26%となります。次に佐賀の8.25、徳島、福岡8.24%と続きます。一番低いのは長野で8.15%です。0.11%の差が開きます。
保険証に記載の都道府県の地域別保険料で計算
Aさんは、B株式会社の松本支店(長野県)で働いています。保険証をみると、保険者は全国健康保険協会北海道支部と書いてあります。B株式会社の本社は札幌にあり、本社一括で社会保険に加入しています。
つまり、長野県に住むAさんの10月支給分給与からの新しい保険料は、地域別保険料では最高である北海道の8.26%で計算されることになります。
B株式会社は、従業員数は300名です。1人分の保険料負担の増加はわずかであっても、まとまると大きな金額になります。
全国に支店のあるB社は、保険料率の低い県に本社移転を考えるかもしれません。しかしながら、保険料率は今後も見直しされ、低い県がいつまでも低いという保障はありません。
今後、いずれの都道府県においても、疾病の予防などにより加入者の医療費が下がれば、その分の保険料率を下げることが可能となる仕組みであると言われていますが、ほんとうにそのようになるのでしょうか。
(都道府県単位保険料率)
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