【 2009年 第 10 回 】子育ても仕事も! 社会保険制度を活用して! 社会保険
菅野 美和子(スガノ ミワコ)⇒プロフィール
傷病手当金と出産手当金
A子さんは初めての妊娠で何かと不安でしたが、安定期に入っても体調が悪く、早産の危険性があるので、仕事を休むことになってしまいました。
有給休暇も不足し、欠勤を続けています。A子さんの心配はいろいろですが、お金の心配もそのうちのひとつ。
しかし、病気のために仕事に就けない場合は、傷病手当金を申請することができます。それは妊娠中のいろいろな病気であっても対応できます。
切迫早産と診断されて、会社を休んでいるA子さんは、傷病手当金を申請できます。お休みした日について、標準報酬日額の3分の2が支給されます。
傷病手当金を受けるには、仕事に就けない、4日以上仕事を休む、給料を受けられない(あるいは少ない)という条件を満たすことが必要です。
産前6週から産後8週の間は、出産手当金が支給されます。傷病手当金も出産手当金も、どちらも対象になるというときは、出産手当金が優先です。といっても、金額は同じですが。
出産手当金は、実際の出産が予定日より遅れても、遅れた日数分、支給されます。
変わる出産育児一時金
10月以降、赤ちゃんひとりにつき支給される出産育児一時金(扶養家族の場合は、家族出産育児一時金)は、38万円から42万円へとアップしました。もし双子であるなら、84万円です。
42万円は産科医療補償制度に加入している医療機関での出産ですが、現在、分娩を取り扱うほとんどの医療機関が産科医療補償制度に加入しています。
そして、出産育児一時金の支給方法も10月から変わりました。
もともと、出産育児一時金は、出産費用をいったん全額支払い、あとで申請するというしくみでした。事前に申請しておけば、病院の窓口では差額だけを支払えばよいという代理受取というしくみもありましたが、利用できない場合は、いったん全額支払うことになります。あとで戻ってくるとはいえ、かなりまとまった金額を用意しておかねばなりませんでした。
10月以降は、出産育児一時金を健康保険から医療機関等に直接支払うしくみになりました。つまり、42万円以上の出産費用がかかった場合、実際にかかった費用と42万円の差額を病院へ支払うだけ。
また、出産費用が42万円以下の場合は、あとで差額を請求します。
立替え払いがなくなり、かなり楽になりますね。
産後8週で職場復帰をするのに不安なママも。
育児休業の利用
もう少し子育てに専念したいという人は、育児休業を利用しましょう。通常、育児休業中、賃金はありませんが、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
平成22年4月以降に育児休業を開始した場合、休業前賃金の50%の給付金を休業中に受け取れるようになります。
育児介護休業法が改正されて、「パパ・ママ育休プラス」という制度ができました。実施は今後になりますが、両親で育児休業を取得する場合、1歳2か月まで育児休業が取れるというもの。
ママだけが育児をするのではなく、パパも育児休業をとり、ふたりで分担してみるのもいいかもしれません。
妊娠・出産・子育てを応援する制度が、整えられてきています。上手に利用して、子育ても自分の夢も、どちらも大切にしていけるといいですね。
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