【 2009年 第 12 回 】2009年を振り返る 長期的視点
恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒プロフィール
リーマン・ブラザースの破綻で金融・経済がパニックに
昨年9月、サブプライム・ローンに端を発した証券化商品の問題で、米国大手証券会社リーマン・ブラザースが破綻し金融・経済がパニック状態になりました。
11月15日には先進国と新興国の首脳が集まりG20が開催され、各国の大手銀行に公的資金が注入されました。
今年は昨年の金融危機の流れを引きずりながらの、年明けになりました。1~3月、4~6月、7~9月の四半期毎の大手銀行の決算が好転したことにより、徐々に金融危機が遠のきつつあります。その関係で、新興国株価及び米国、欧州の株価も堅調に推移してきています。
日本は、出遅れていますが・・・。
ドバイ・ショック
11月末には、政府系持株会社ドバイ・ワールドの債務返済繰り延べの要請から信用不安が起こるといったドバイ・ショックがありました。現在のところ英国を中心とした欧州の銀行への影響は軽微ということで、それほど株式市場に影響を与えてないようです。
現在は、金融危機、金融不安から各国の雇用、失業に関心が移ってきています。
雇用環境の改善による所得の上昇で消費が上向いてくることで、今回の金融危機に起因する不況から脱却できるのでしょう。
一時下火になっていました、「金利が低い通貨を借りて、金利の高い通貨で運用するといったキャリー・トレード」が、今回は円ではなく、金利が低いドルで運用する「ドル・キャリー」が行われそうです。それが商品市況や株式市場に影響を与えているとも聞きます。
また、今年は本格的に新興国を生産拠点以外に販売先としても台頭してきた年とも言えるでしょう。自動車の販売台数は、中国が米国を抜いて1位になる勢いです。
金融立国から「モノづくり」立国に回帰した日本
金融危機後、日本は、金融立国ではなく「モノづくり」立国に回帰してきています。
但し、このコラムの3月に書きました「過剰品質」や8月に書きました「ボリュームゾーン」への対応がこれからという感じです。
ブランド品離れなど日本国内の消費スタイルも変化してきています。消費者は自分が必要としない機能に関しては、お金を払わないように成りつつあります。
自民党から民主党へ政権の変わり、今回の事業仕分けなどみていますと、各事業への予算の付け方にも変化が見えます。来年度予算と赤字国債の発行額がどのくらいになるかという心配がありますが、政治の世界も確実に変化してきています。
こんな中、私自身も「ファイナンシャル・プランナー」として来年は、どのように業務を変化させていくか、年末年始の時間を使い考えていきたいと思います。
読者のみなさん、変化を楽しみましょう。
「メリー・クリスマス」そして「良い、お年を」。
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