【2016年 第3回 快適な自転車移動!潜むリスクに備える】生活に欠かせない持ち物!これからどうなるの?
小松 英二(コマツ エイジ)⇒プロフィール
私たちの生活を取り巻く“持ち物”シリーズは「自転車」を取り上げます。
省エネや健康生活の面から見直されている自転車ですが、自転車同士や歩行者との衝突事故をめぐるトラブルが少なくありません。
相手に取り返しのつかないケガをさせると、高額な賠償が命じられることもあります。
今回は、こうしたリスクへの備えにスポットを当てていきます。
日常生活において他人に損害を与える可能性
このところの省エネ意識の高まりや、健康生活のために自転車に乗る人も増えているようです。
筆者も日常的な買い物や図書館への往復など、生活圏内での移動によく活用します。
このように環境や健康にいいことが多い自転車移動ですが、街に自転車の数が増えることによって、自転車による人身事故や物損事故も多くなっています。
新聞で『少年が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、少年の母親に約9500万円という高額賠償が命じられた』とする記事をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
被害者は、事故の影響で寝たきりとなり、意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を妥当と評価しています。
ただ、子を持つ親にとって、この賠償を命じた判決は驚愕でしょう。
また、自転車の運転以外にも、日常生活において他人に損害を与える可能性のある行為は、少なくありません。
・駅の混雑時に他人にぶつかってケガをさせた
・飼い犬が散歩中に通りがかった人に噛みついてケガをさせた
・立食パーティでトレーにのっていた食事を落として他人のドレスを汚した
など、トラブルは日常生活に多く潜んでいます。
まさかに備える個人賠償責任保険
自転車を運転中の不注意による損害賠償は、最終的には金銭で解決することになりますが、事故によっては高額賠償請求に至る事例も発生しています。
こうした法律上の損害賠償に対して保険に加入して備えるのが、「個人賠償責任保険」です。
一般に保険は、「生命保険」「医療保険」「火災保険」「地震保険」など、自分自身の生命や健康、所有する財産のために加入しています。
しかし、自分のためだけでなく、「他人の生命や健康、所有する財産」を損ねてしまった事態に対処するために「個人賠償責任保険」があります。
実は、マイカーを運転する人は、「自動車保険」に加入し、対人補償や対物補償といった自動車運転における賠償責任の備えをしています。
ここで登場した「個人賠償責任保険」は、マイカー運転以外の賠償責任を広くカバーすることから、自転車を乗るうえで加入すべき保険の有力な候補と考えてください。
運転のリスクに備える個人賠償責任保険と自転車保険
自転車のトラブル対策として、一部の自治体は、保険への加入を義務化する動きを見せています。
これまで個人賠償責任保険での備えが一般的でしたが、単体の自転車保険も増えています。それぞれの加入方法を見ていきましょう。
個人賠償責任保険の加入は、火災保険や自動車保険、傷害保険といった保険に「特約」として付けます。
積立型の火災保険や傷害保険に個人賠償責任保険の「特約」を付けることができます。
この特約を付ける場合、1点注意が必要です。
たとえば、自動車に乗らなくなり、自動車保険を解約すると、一緒に個人賠償責任保険もなくなりますので注意しましょう。
なお、おおよその目安としての保険料ですが、賠償責任保険1億円で火災保険などに特約で加入する場合は月100円程度からあります。
単体の自転車保険は、相手にケガを負わせてしまった場合の損害賠償に備えるとともに、自転車搭乗中の事故で自身がケガで入院・通院した場合や、ケガが原因で後遺障害が生じた場合の補償を受けられます。
月払保険料400円程度で、賠償責任保険1億円、死亡・後遺障害保険金300万円などが付きます。
健康志向や省エネ意識の高まりから見直されている自転車。
でも思わぬところでトラブルが生じると後悔だけが残ります。
相手の人生とともに、損害賠償で一生を棒にふることも。
出会いがしらの事故に対する訴訟も増えていますので、これまで以上に保険の必要性は高まっています。
まさかの事故に保険での備えもしっかりとして、自転車を活用した快適生活をエンジョイしてみてはいかがでしょうか。
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