頭と尻尾は猫にくれてやれ【2013年 第3回】

【2013年 第3回  頭と尻尾は猫にくれてやれ】投資の格言から学ぶ 株式投資

松山 智彦⇒プロフィール

猫を飼っていますか?猫のえさに何を与えていますか?
今の時代、キャットフードというものがあって、猫も贅沢になりましたが、「お魚咥えた~♪」という歌詞のように猫はお魚大好きなイメージがあり、昭和猫たちは、飼い主はおいしい真ん中のところを食べ、その残りである頭と尻尾(それと骨)を貰っていました。それでも当時の猫にとっては贅沢な食事でした(だから、ドラネコは贅沢したくてお魚を咥えて逃げたのかもしれません)。
今回の格言はそんなお話です。

 

 

 

 

相場は欲で満ちている

安倍政権になってから日経平均株価が月足ベースで4ヶ月連続して上昇、移動平均線も長期線まで上昇トレンドになってきました。

株式をお持ちの方は、いつ売ろうかと考えているはずです。また買うなら“今でしょ!”と思っている方もいることでしょう。

そういう時、相場は活況になります。今なら“儲かる“と思う方であふれかえります。そして、もうちょっと上がるだろう、もうちょっと下がるだろうという思惑に踊らされているのです。もうちょっと上がる(猫の頭の部分)、もうちょっと下がる(猫の尻尾の部分)までも取ろう(食べよう)としがちです。

しかし市場はそういう欲を持つ人だけの世界ではなく、理論的に資産運用している方や社会的使命をもって運用している方なども参加しています。

 

また、どんな相場であっても個別銘柄でみていくと、それぞれの企業の個別な事情があります。また保有している株主にも個別の事情があります。そして外的な要因を含めて相場にインパクトを与えるイベントは突然にやってきます。

その事を無視して(忘れて)、まだまだあがるだろうから、売るのはちょっと待とう!とか、反対にまだまだ下がるだろうから買うのはもうちょっと先だとか、自分だけのタイミングで売買を行うと思わぬ損失を招く事があります。

 

それこそ“逃した魚は大きい”という事になり、頭と尻尾を欲張ったばっかりに魚のおいしいお腹の部分が食べられなくなります。

 

しかし、管理する事は可能

そういう市場だからこそ、どんなプロでも売買のタイミングを逃す事があります。特に売るタイミングというのはなかなか難しいと言われています。

そこで機械的にある株価になったら、自分の思惑を無視して売るという方法を採用している方がおられます。

 

例えば、ある程度含み益が達成される株価を設定し、その株価になったら売るという風にすれば、含み益だったものが確実な利益に変わり、キャッシュを確保できます。これを利益確定の売りといいます。

 

また、せっかく買ったのにどんどん株価が下落して含み損が拡大する事もあります。こういう時は含み益がある時以上に売りづらくなります。

そこで利益確定の売りと同じ要領で、ある程度の含み損を突破する株価を設定し、その株価に達したら売るという風にする事で、損失の拡大を防ぐ事ができ、そのキャッシュで出直しの別銘柄購入のチャンスができます。

これを損切りといいます。

この利益確定や損切りができるようになれば、利益を逃したり、損失を拡大させることはある程度防ぐ事ができます。

大切なことは、頭も尻尾も食べたいという“思惑”に左右されない事です。

思惑というのは、買いたい銘柄にもあります。

しかし、思ったほど株価が下がらず買いそびれてしまう、なんて事にもなりかねません。しかも買いたいと思う銘柄はこれから上昇するだろうと思って買うのですから、下がるのも待つというのは得策ではないのかもしれません。

こういう時には“指成(指値不成)”という注文方法があります(証券会社によって表現が異なります)。これは市場の引けまで指値注文にしておき、引けまで約定しなかったら引け価格で買うという注文方法です。これだと買いそびれはなくなります。但し、引け時には成行になってしまうので、思わぬ高い株価で買ってしまう危険があります。

 

因みに、こういった管理をするために便利なのが、2月に案内した逆指値注文なのです。

  銘柄選びのポイント

今回はこういった銘柄選び・・・はありませんが、欲張って銘柄を選択すると魚全体が猫にとられかねません。なので、選んだ銘柄を購入するときには、目標株価なるものを設定する事をオススメします。

この目標株価ですが、いくつかの方法があります。

例えば「株価=EPS(1株利益)×PER(株価収益率)」を使う場合、企業が発表する予想EPSから目標株価を算出するといった方法になります。

計算がめんどくさい方は、評価会社や投資関連出版者が発表している目標株価などを利用するのも一つの手です。

 

株式投資はそのトレンドがいつまでも続くと思いがちで、そんな時はトレンドが変わったタイミングを見逃し勝ちです。

冷静になれない自分を自覚し、機械などの力をたよって取引するのもひとつの手です。

 

この格言の通り、頭と尻尾を猫にあげれば、猫もご機嫌だし、私たちもご機嫌になれるのですから。

 

  本日のポイント

「利益確定」:予め設定していた含み益に達したら、一旦売る事。

こうする事によって実現した利益を確保する事ができる。

「損切り」:予め設定していた損失額に達したら、見切りをつけて売る事。

こうする事によって損失額の拡大を防ぎ、出直しする事ができる。

「指成(指値不成)」:注文時に指値をし、引けまでその値段で約定しなかった場合に、引け(成行)で約定させる注文。

 

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