【 2010年 第 4 回 】悪質商法から身を守る② - 悪質商法への対処法 ~消費者力をアップしよう
福島 久美子(フクシマ クミコ)⇒プロフィール
キャッチセールスに遭遇
かなり前のことですが、街を歩いていると、向こうから歩いてきた女性にすれ違いざまに突然、「あなた惜しいわねー!あと3キロ痩せたら綺麗になれるのに。私ダイエットカウンセラーをしているんだけれど、あと3キロ、一緒にダイエットがんばってみない?」と言われことがありました。
いわゆるキャッチセールスです。
見ず知らずの他人に向かってあと3キロ痩せろとは、何とも余計なお世話ですが、5キロでも10キロでもなく「あと3キロ」という、頑張れば何とかなるかもしれない微妙な数字を出してきたのは、あと少し痩せたいという多くの日本女性の心理を巧みについたうまい誘い文句だなと思いました。
よく見ると女性の後ろに少し離れて、もう一人の女性と男性がこちらをうかがっていました。もしついて行ったなら、おそらくこの人達に囲まれて喫茶店かオフィスで強制的にエステの契約か何かさせられていたのかもしれません。
あれから時を経ても似たような商法は相変わらず存在し、被害者は後を断ちません。
おいしい話はないと大半の人はわかっているはずなのになぜひっかかるのか、どうしたらひっかからずに済むのでしょうか。
それには、ひっかけのテクニックとひっかかる心理を知ること、そしてそのような心理が自分の中にも少なからずあると自覚しておくこと。これが悪質商法への対処法の1つになります。
ひっかかる人の特徴
ひっかかる人には、次に挙げるようないくつかの共通した特徴や心理があると考えられます。
- 儲けようという気持ちが強い
→ 金銭欲が強く金融商品の勧誘にのりやすい
- プライドが高く見栄っぱり
→ 競争心から購買意欲を煽られる
- 情に流されやすい
→ 販売員からノルマが苦しいなどと頼み込まれると断れない
- コンプレックスがある
→ 体形や容姿へのこだわりが強く手当たり次第に美容器具や健康食品を買う
- 慎重さに欠ける
→ あまり深く考えず、早とちりしたり言われたことを鵜呑みにして何でも買う
- 人の話を聞かない
→ 自分の考えだけが正しいと思い込み、間違いに気づかず一人で決めてしまう
悪質業者は、こうした特徴や心理を常に分析して、どうしたらひっかけられるかというマニュアルやテクニックを駆使して巧みにだますのです。
自分だけは大丈夫と思っていても、たまたま精神的に弱っている時などに一瞬の心のスキマをつかれることもあるので、上に挙げた特徴にあてはまらない人でも油断はできません。
悪質業者の立場になって考えてみる
次に、悪質業者の立場になって考えてみるというのも対処法として有効です。
もしもあなたが悪質業者だったなら?
しかも、ものすごくきついノルマを課せられている販売員だったら、と想像してみて下さい。
たとえば全然効かないダイエット食品を売りつけるために、どんなセールストークでお客に買わせようとするでしょうか。
・ラクして短期間で驚くほどやせる!
・今だけ特別キャンペーンで激安!
・医学的にも安全と証明されている!
・自分(販売員)もこの商品でやせた!
・芸能人も愛用している! etc.
悪質業者は、売るためとあらば誇張したり不安を煽ったり、ウソをついたりしてあの手この手のセールストークを並べ立てます。こうした売り手側の心理を冷静に見つめてみることで、どこかおかしいとか、問題があるのではといったことが見えてくるのです。
この世の中、うまい話はそうそう転がってはいないもの。
しまった!とならないためにも、その場で契約したり買ったりせずに、一晩でも時間を置いてもう一度考え、それでも欲しい気持ちがあれば家族や友人など他人の意見も聞いてみる、そして不要な時にはきっぱり断る勇気を持つことが大切です。
次回は、しまった!と思った時のクーリング・オフについてのお話です。
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