保証人のお話【2010年 第 12 回】

【 2010年 第 12 回 】保証人のお話 ~消費者力をアップしよう

福島 久美子(フクシマ クミコ)⇒プロフィール

保証人になるのは怖いこと、そう認識している人は多いと思います。

しかし、いざ自分の身内や親しい友人から「絶対に迷惑かけないから、頼む!」と懇願されたり、「あと2~3ヶ月したら必ず返せる当てがあるから」などと言われるとどうでしょうか?情にほだされてやむなく引き受けてしまうケースが少なくないのが実情のようです。

日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会が2005年に行った調査によると、自己破産した人の約10人に1人は保証人になったことなどが原因で破産申立をしているといいます。自分の借金ならまだしも、保証人になったために人生設計が狂ってしまうのは何としても避けたいことです。

保証人と連帯保証人の違いとは

保証人には連帯保証人と通常の保証人がありますが、「連帯」の2文字がつくのとつかないのとでは大違いで、連帯保証人は保証人に比べ大変重い責任を負うことになります。

通常の保証人の場合は、金融会社などからいきなり返済を求められても、まずはお金を借りた本人(主たる債務者)のほうに請求させることができますし、借り手本人に請求しても返済されなかったと言って保証人に請求がまわってきた場合でも、借り手本人に返済できる財産があり差し押さえ(強制執行)できることを保証人が証明すれば、貸し手はまず本人の財産の差し押さえをしなければなりません。

連帯保証人の場合にはそのような主張をする権利がなく、貸し手から請求されたら支払いを拒むことはできません。借り手本人と連帯して債務を全額負担するのが連帯保証人だからです。お金の貸し借りで「保証人になって」と頼まれる場合の保証人とは、一般には連帯保証人を指す場合がほとんどです。

保証人の責任範囲は広い

連帯保証人であれ保証人であれ、保証人は借り手本人の借金の額以上の額を保証したり、支払い期限や返済条件についても本人以上に責任が重くなることはありません。本人の借金が1,000万円なら1,000万円までの責任を負い、500万円に減れば500万円になります。

ただし保証契約というのは、借り手本人と結ぶものではなく、保証人と貸し手とが結ぶ独立した1つの契約ですから、違約金や損害賠償など借り手本人の契約にない約束を保証契約だけにつけてもかまいません。また、保証債務には借金の元本だけでなく、利息、違約金、損害賠償のほか契約締結費用や訴訟費用など借金に付随するすべてのものが含まれますので、借り手本人の借金以上に負担が重くなってしまうことはありえます。

連帯保証人がたくさんいれば、安心か?

複数の連帯保証人がいても、自分の負担部分以上に支払いをした場合には、他の保証人に対してそれぞれが負担すべき分を支払ってもらう(求償する)ことができますが、求償すべき相手が破産した場合などは無い袖は振れませんから応じてはもらえないでしょう。

それどころか連帯保証人の中に返済能力のない者がいた場合、他の資力ある保証人がその者の負担分までカバーしなくてはならないため、結果的に資力ある保証人の負担分は増えることになります。「他にも保証人をつけるから大丈夫」と言われても保証人を引き受ける安心材料にはなりません。

妻(夫)の借金を夫(妻)が支払う義務はあるか?

保証人や連帯保証人になっていなければ、原則として夫(妻)には支払い義務がありません。逆に保証人や連帯保証人になっていれば、たとえ離婚して籍を抜いたとしても保証人の責任がなくなることはありません。

保証人を引き受ける前に

まずは、安易に引き受けないのが一番です。保証人になる時はハンコを押すだけで費用もかからず簡単ですが、一旦なってしまったら契約ですので勝手に契約を解除することはできません。

保証人を頼まれるということは、その時点で相手は経済的にかなり厳しい状況と思われるケースもありますので、保証人を引き受ける場合は、支払い義務が生じる可能性を十分考慮した上でどうすべきか考えなければなりません。

もし支払いができなければ自己破産や民事再生などの法的手続によって精算されることになります。保証人を引き受けて本当に責任がとれるのかどうか、自身のライフプラン上どれほどの影響があるのかもよく考えた上で判断することが必要でしょう。

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