「時間軸」という切り口で自分と向き合う②~「私の『これまで』」編【2010年 第 6 回】

【 2010年 第 6 回 】「時間軸」という切り口で自分と向き合う②~「私の『これまで』」編 ”終わり”ではない「エンディングノート」 

高原 育代(タカハラ ヤスヨ)⇒プロフィール

「一番のお気に入り」はどんなもの

前回の≪私の思い出≫と同様に、今度は「時間軸」をタテ軸として、ヨコ軸に「モノ」という切り口から自分と向き合うのが≪私のお気に入り≫。

あなたの「一番のお気に入り」はどんなものですか?
映画やテレビ、旅行、食べ物、本…いずれも、日頃の生活に疲れたときなどに、コレがあれば自分の“素”を取り戻してくれる大切なものだと思います。

海外旅行

たとえば、私の場合。
初めての海外旅行は大学1年生の時でした。最初の夏休みにアルバイトでがんばったお給料で、夏休みが終わってから先輩たちとグアム島へ。
最初に見たあの海の青さ。今までに日本の海で見たのとはまったく違う、ことばではうまく言い尽くせない風景は二十数年経った今でも忘れることができません。

風景だけではありません。ケタ違いの大きなステーキや、免税店で財布とにらめっこしながら楽しんだショッピング(当時は1ドルが250円ぐらいでした!)など、どれもたった数日間のできごとが、一緒に行った仲間との会話と共に懐かしく思い出されます。

映画やテレビ番組

映画といえば、定番ながらやっぱり「ローマの休日」なんですよね。
高校生の時に、友人と古いアメリカ映画の2本立てシリーズを毎週見に出かけました。その中でも、最も心に残ったのが「ローマの休日」。オードリー・ヘップバーンのあの可憐な美しさに魅了された人は本当に多いですよね。

私にとって、特に印象的だったのは、ヘップバーン扮するアン王女が、グレゴリー・ペック扮するジョーのアパートの階段を下りていく場面。あのステキな後ろ姿にあこがれた私は、20代の頃、フレアスカートが大のお気に入りファッションでした。

よくテレビ番組でも、懐かしの映画やアニメ・ドラマの特集がありますね。
そういった「あの時代、あの場面」を思い起こさせてくれるものを大切にしたい気持ちは誰にも共通するところなのだと思います。

お気に入りのものに触れることは、単なる「もの」としてだけではなく、そこから自分に連なるたくさんの「ひと」や「できごと」に広がって、自分の“原点”に立ち戻ることができたり、生きる活力・エネルギーがもらえたり、不思議な力の源なのかもしれません。

こういった≪私の思い出≫や≪私のお気に入り≫をノートに書き記しておくことには、意外な効用があるようで、「認知症」の方の介護やお世話の場面にも取り入れられているのです。

この続きは次回。

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