【2016年 第6回 財政的不安の少ない都心で暮らす】都心に暮らす醍醐味
松浦 建二(マツウラ ケンジ)⇒ プロフィール
もしも住む場所を選べるならどこに住みたいですか?
人が住んでいる場所であればそこに何かしらの良いポイントがあり、住んでいる人にとっては「住めば都」だと思います。
しかし、客観的にみれば、住みやすさには利便性や環境等のいろいろな要因があります。
このコラムでは「都心に暮らす醍醐味」と称して都心暮らしの良いポイントを隔月でお伝えしていきます。
「都心に暮らす醍醐味」の最終回は、都心各区の財政事情を見てみます。
住んでいる自治体が健全でないと、住民サービスの質は低下し住民負担も増えて、良いことは何もありません。
住むなら健全な場所に住みたいところですが、都心の各区は健全なのでしょうか?
健全かどうかを確認するポイントはいろいろありますが、今回は3つの指標で東京都心各区(千代田・中央・港・新宿)の財政事情を確認してみました。
基金は多いに越したことはない
自治体の「基金」は一般家庭でイメージすると「貯金」にあたります。
少ないよりは多い方が良く、将来の支出や不測の事態に備えることもできます。
平成23年度から5年間の推移を表にしてみました。
各区の人口規模はまちまちですが、4区の中では港区と千代田区の基金が平成27年度は1000億円を超えています。
4年前と比べて中央区・港区・新宿区は基金を減らしていますが、千代田区は280億円も増やしています。
借金は少ないに越したことはない
「基金」が一般家庭の「貯金」なら「区債」は「借金」とイメージすることができます。
借金は多いより少ない方が良く、基金が多くて区債が少ないと非常に健全性が高いと言えます。
平成27年度を見ると、千代田区と港区は区債を順調に減らしていて翌年にはゼロになりそうです。
中央区は小学校の建替えが続いたこともあり4年前から81億円増えています。
基金と区債を見る限りでは4区とも問題ないですが、千代田区と港区の健全性が際立っています。
都心区の財政は自由度が高い
財政の弾力性を示す指標に経常収支比率があります。比率が高いと財政は硬直化し、低いと自由度が高まります。
突発的な出来事等に対応するためにも70~80%程度が適正な水準と言われています。
全国的には92.1%(平成26年度)と適正水準をかなり越えた厳しい状況にあります。
しかし、東京23区の平均ではここ数年かなり改善していて、平成27年度は適正水準の77.8%となっています。
都心の各区をみても港区が65.4%、千代田区が70.0%で財政の自由度が非常に高くなっています。
都心の各区では比率が年々改善しており、全国との差が徐々に広がっています。
今回は3つの指標だけでしたが、都心の各区は健全な財政状態と言えます。
自分の住む自治体は健全な方が良いですし、住む場所を選べるなら健全な自治体を選びたいものです。
都心に暮らす醍醐味を、交通網・人口・女性・災害・資産価値・財政の面に着目してお伝えしてきました。
どこに住んでも良いところと悪いところがあるでしょうが、中央区在住の筆者としては、全6回を通じて少しでも都心に暮らしたくなってもらえたら幸いです。
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