金利を理解しよう【2010年 第7回】

【2010年 第7回 】金利を理解しよう 女性の投資

鈴木 暁子⇒ プロフィール

今の金利はどれくらい?

今、1年もの定期預金の金利はどれくらい?直近で発行された個人向け国債の金利はどれくらい?すぐに答えられる人は少ないでしょう。
では、今あなたが銀行に預けている預貯金の金利はどれくらい?回答できた人は半分もいないかも。
このように一般的な商品ならともかく、自分が預けている預貯金の金利すら知らない人が多いのです。

たしかに現在の預貯金金利や国債の金利の低さは“歴史的”と言っても過言ではありません。だからといってただ漫然としていてはいろいろなチャンスを逃すことになりますよ。

金利を使いこなすには主に3つの要件があります。順番に見ていきましょう。

1.タイプは?

金利の種類には「固定」と「変動」があります。違いは文字どおり「預入金利は満期までずっと同じまま続くか、市場の動向に合わせて変わるのか」です。皆さんだったらどちらを選びますか?

答えは「その時の状況に応じて」が正解。どちらが良い悪いではなく、市場の動向によって選択するものが違ってきます。市場の動向は基本的に4つしかありません。

①金利が低い時
②金利が上がりそう(上がるかどうかはわからないけれど、上がる確率が高そう)な時
③金利が高い時
④金利が下がりそう(下がるかどうかはわからないけれど、下がる確率が高そう)な時

 

 

 

たとえば①市場の金利が低い時や②金利が上がりそうな時であれば、色付きの部分にあたる金利上昇の恩恵が被れないため、低金利のまま固定(ピンクの線)されたくありません。したがってこのような時には変動金利を選ぶのが基本です。

逆に③金利が高い時や④金利が下がりそうな時であれば、変動金利ですと金利を固定できないため、色付きの部分にあたる金利をもらい損ねてしまいます。このような時には固定金利を選ぶのが基本です。

2.期間は?

次に「預け入れ期間は短めにするか、長めにするか」というのも大事なポイント。この「期間」とは厳密にいうと「拘束期間」。つまり原則この期間は引き出ししない(できない)という意味ですが、実はもうひとつ拘束されるものがあります。
それは「適用金利」。つまり固定金利の場合、短めの期間であれば、金利の適用期間は短く、長めの期間であれば金利の適用期間は長くなります。

ただし変動金利の場合は、たとえば5年もの個人向け国債変動金利型のように満期までの期間は5年ですが、適用金利は半年ごとに見直されるため、その都度市場の金利を反映します。
したがって先ほどの①市場の金利が低い時や②金利が上がりそうな時であれば、今の低い金利は長く拘束されたくないですから、固定金利の商品であれば短め(1年くらい)、あるいは変動金利の商品を選ぶのが基本です。
逆に③金利が高い時や④金利が下がりそうな時であれば、高い金利はできるだけ長く拘束しておきたいですから、固定金利で長め(10年程度)の商品に預けておくのが基本です。

3.運用のしかたは?

満期が到来した時に利息の計算をどうするか、ということです。常に当初預け入れた元本に対して利息計算される方法を「単利」といい、支払われる利息を元本に組み入れ、その新たな元本に対して利息計算される方法を「複利」といいます。

 

 

 

 

ベージュ:単利
黄色:複利

図からもわかるように、複利ですと元本自体が大きくなっていくため、それに対する利息も当然大きくなっていきます。双方の増え方の差が徐々に大きくなっていくのはこのためで、いわゆる「利息が利息を生む」というのはこのことです。
したがって早く増やしたいと思うのであれば複利運用をしている商品へ、利息をその都度元本とは別に受け取りたいと思うのであれば単利運用の商品に預けるのが基本です。

金利が動く時は、株式などと違い、明日突然上がる(下がる)ということはありません。新聞やニュースなどでアンテナを張っていれば、「そろそろ上がりそう(下がりそう)」というのがわかり、定期預金などを預け替えたり金利タイプの選択を検討するなど、事前に手を打つことができるのです。

低金利となってからもう10年以上経ちました。「低金利だから気にするほどのことはない」と預けてそのままにしていた人は、10年の積み重ねを無駄に過ごしてしまったかもしれません。今後もまだしばらくはこのような状況でしょう。
「チリも積もれば」ではありませんが、このような時こそ、マメに行動する人とそうでない人の差がつくのです。

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