将来が不透明なときこそ、働き方を見つめ直す【2012年 第11回】

【2012年 第11回 】将来が不透明なときこそ、働き方を見つめ直す ~地域:全国平均

波多間 純子(ハタマ ジュンコ)  

勤労感謝の日は「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」ことを趣旨としていて、そもそもは五穀豊穣の祝いを由来にしているそうです。「働く人」「社会に完全されたモノやサービス」「働く場」に感謝する日と考えると、ありがたい気持ちにも自然に湧いてきますね。

働くことは、生活を支えること、もっと直截的にいえば「食うため」です。日頃は働く意味を振り返ることなく慌ただしく過ぎていく毎日ですが、せっかくの機会なので「自分にとっての働くこと」を見つめ直してみませんか。

正社員が減り、非正社員が増える時代

私たちの働き方は社会環境の変化に大きく左右されています。

総務省が2012年2月に発表した労働力調査の2011年の集計によると、派遣やパートなどで働く非正社員が全雇用者に占める割合は35.2%となりました。(岩手、宮城、福島の3県を除くデータにて算出)。2010年平均より0.8ポイントの上昇です。会社で働く人の3人に1人は非正社員ということになります。

 

 

 

 

 


出典:労働力調査(詳細集計)平成23年平均 全国(岩手、宮城、福島を除く)

 この非正社員の割合は上昇傾向が続いており、2011年では過去最高となっています。非正規で働く若者が増えていることや、定年退職した人が嘱託や契約社員で再雇用されたことが要因としてあげられます。

反面、社員のうち、正社員として働く人は前年2010年に比べ25万人ほど減っています。つまり、正社員が増え非正社員が増えているといえます。この影響もあって、会社員の生涯賃金も下降傾向です。大学卒男性が定年まで勤めた生涯賃金は1990年では3億640万円、2000年では3億520万円ありました。これが2009年には2億7,580万円となり、約10年間で総額2,940万円も減った(▲9.6%)計算になります。(退職金を除く。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)さらに失業率も下降傾向とはいえ、高止まりで推移しています。つまり、誰もが失業と無縁で働ける環境ではなくなったのです。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典:労働力調査(詳細集計)平成23年平均 全国(岩手、宮城、福島を除く)

多様な働き方に対応できる自分とは

こうした環境の中ではともすれば正社員でない働き方や終身雇用から外れてしまうことを恐れたり、その境遇の自分を否定的に考えがちです。しかし、新卒から大企業正社員もしくは公務員、さらには、つつがなく終身雇用制度にのって定年退職までいける人はあくまで少数です。むしろその他の多少でこぼこ事情のある働き方や生き方をしているのが、スタンダードであり自然なんだと意識を変えることが必要です。

契約社員として働く30代のご相談者の方で、この度契約を更新されず失業した方がおられました。本人の働きぶりとは全く関係なく契約先の人員整理により、その部署全員の契約が切られたということです。その際、「今の雇用制度は昔でいう大黒柱の『男性正社員』を守るために、その他の働き方をしている人が調整弁になっているのだ」というと、ハッとした顔をされました。心のどこかで契約を切られた自分を責める気持ちがあったようです。

自分ではどうしようもできないことにフォーカスしないで、できることに専念すれば心も軽くなります。

5〜10年後を見据えた働き方とお金の使い方を考える

そこで、自分が5年後10年後どんな働き方をしたいか、どんな仕事をしていたいかを改めて明確にしてみましょう。その上で今からできることを少しずつ始めてみましょう。

会社に合わせた働き方ではなく、自分にどんなキャリアを加えていけばよいかを冷静にみつめましょう。それと同時に自分のやりたい仕事、楽しんで続けられる仕事をするためには、何を始めればいいかというエッセンスも忘れずに。自分の市場価値をシビアに見つめる視点だけでは仕事を続けていくことが虚しくなります。

自分をイキイキ活かせる技能や経験をちょっとずつでもいいので重ねていきましょう。そうすることで自分の力で自分の希望を作り出すことができます。不透明な時代の自信や経験は、誰かから与えられるのを待っていてはいつもでも不安なままです。自覚的に自ら希望を作り出すことで、結果「変化に負けない自分」を作れるはずです。

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