九州・沖縄地方の財政事情と鹿児島市ならではの住民サービス【2012年 第12回】

【2012年 第12回 】九州・沖縄地方の財政事情と鹿児島市ならではの住民サービス ~地域:九州・沖縄

瀬尾 由美子(セオ ユミコ)⇒プロフィール  

12月に入り、今年も残すところ1か月となりました。11月16日に衆議院が解散され、12月4日に衆議院選挙の公示、16日に選挙に投票日と、いつにも増してあわただしい年末になりそうです。

さて、年末といえばサラリーマンの方達は、勤務先で源泉徴収票をもらい、所得税の還付があった方は、喜んでいらっしゃるかもしれませんね・・・。
税金といえば、私たちが住んでいる地方の財政はどうなっているのでしょうか。
そこで、今回は九州・沖縄地方の「財政事情」について、各種統計を基に確認していきたいと思います。

 

平成24年度地方財政白書

総務省統計局発表「平成24年度地方財政白書」より

総務省が平成24年3月16日に発表している「平成24年版地方財政白書」の中に、第12表 地方税の状況(つづき)というデータがあります。このデータには、平成21年度と平成22年度の道府県税の金額(うち法人住民税及び法人事業税の金額)(図表1)と、道府県税の収入状況比較(図表2)が記載されています。

 

 

 

 

 

 

図表1の「道府県税の収入状況」で確認してみると、九州・沖縄地方で平成22年度の県税の収入が多いのは、もちろん福岡県です。次に、熊本県、鹿児島県、長崎県と続いています。これは平成21年度も同様になっています。

 

 

 

 

 

 

図表2では、平成21年度と平成22年度の道府県税の比較をしていますが、平成20年8月のリーマンショック以後の世界的不況の影響なのでしょうか、平成21年度に比べて平成22年度は全ての県において税収が減少しています。
その中でも減少率が大きいのは、佐賀県、宮崎県、長崎県となっています。

一方、県税のうち法人住民税及び法人事業税の減少率が大きいのは、長崎県、宮崎県、福岡県となっています。
長崎県や宮崎県、福岡県は観光客が多いところです。不況の影響で所得の減った影響で、観光客が減った影響なのかもしれません。

統計でみる鹿児島県のすがた 

鹿児島県統計局発表「統計でみる鹿児島県のすがた 行政基盤」より①
次に、鹿児島県統計局が2012年9月24日に発表している「統計でみる鹿児島県のすがた 行政基盤」のデータを確認してみましょう。

 

 

 

 

 


まず、歳出に対する自主財源の割合について見てみましょう。これは各県の歳出に対する自主財源つまり税収の割合を表したものです。福岡県は46.4%で14位と順位としては高めなのですが、その他の県の場合は、自主財源の割合が5県とも低くなっています。特に鹿児島県と沖縄県は30%を切っています。

自主財源の割合が少ないということは、国からの支援が多いということを意味していますから、歳入に対して地方交付税の割合は鹿児島県が1位で沖縄県は3位、また、歳入に対して国庫支出金の割合が、沖縄県が1位で鹿児島県が2位となっています。

目的別歳出決済額

鹿児島県統計局発表「統計でみる鹿児島県のすがた 行政基盤」より②
最後に、前述の鹿児島県統計局発表の「統計でみる鹿児島県のすがた 行政基盤」の中の、「目的別歳出決済額」より、歳出割合について確認してみましょう。

このデータは、各費目の対歳出決算総額に対する割合となっています。この割合の中で各県の特徴が一番表れているのが、「農林水産業割合」です。宮崎県と鹿児島県は農業や畜産が盛んなだけに、10%を超えています。

また、「土木費」つまり公共事業・土木事業に使われているお金ですが、この割合は福岡県以外の県で全国平均を超えています。九州・沖縄地方では、公共事業の占める割合が多いということでしょう。

 

 

 

 

 

 

鹿児島市ならではの住民サービスとは? 

鹿児島市は、鹿児島湾をはさんで桜島と対峙しています。桜島は活火山であり、現在も盛んに噴火しています。そのため、鹿児島県内の天気予報では、「風向き」予測が行われています。

なぜでしょうか?それは、風向きによって桜島の「灰」がどこに行くのか確認するためです。桜島の灰が自分の住んでいる地域に来そうだなと思ったら、「今日は洗濯物を外に干すのはやめようかな」などと考えます。つまり、桜島の噴煙と風向きが毎日の生活に密着しているのです。

特に昨年から噴火活動が活発になっていますので、降ってくる「桜島の灰」の後始末が大変です。そこで、鹿児島市では、桜島の噴火が活発になると、「克灰袋」なるものを配布してくれます。この「克灰袋」に降ってきた灰を集めて、指定された場所に置いておくと集めてくれます。

また、「道路降灰除去事業」として、「ロードスイパー」という路面清掃車が灰を集め、その後を「散水車」が水をまいて、灰が舞うのを防ぐというサービスを行ってくれます。このサービスのおかげで、活発な桜島と隣接していても、私たちは鹿児島市で生活できるのです!

最後に、今月でエリア別コラムは終了いたします。1年間お読みいただきありがとうございました。

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