景気の先行き~家計消費支出&傾向~【2012年 第1回】

【2012年 第1回景気の先行き~家計消費支出&傾向~ 地域:東京

岡本 典子 ⇒プロフィール

2012年辰年、天に駆け上がる勇ましい龍を想像したいのですが、世界は「限りなく不況に近い不透明」。欧州債務問題、円高、不景気の中、先行きは明るいとはいえない状況です。

 

希望の先端は空高く

5月22日、東京都墨田区押上にスカイツリーが完成!
高さ634mメートルで、自立塔としては世界一、建築物としてはドバイのブルジュ・ハリファに次ぐ世界第二位となる予定です。
もともとは電波塔ですが、観光都市“東京”の新名所となることは想像に難くなく、オープン初日の搭乗券(3,000円)はすでに完売。
首都東京の景気回復に一役買ってくれると期待しています。

東日本大震災後の日本経済は回復から減速へ

2011年3月11日、生涯脳裏から消えることはないであろう「東日本大震災」、そして「福島原発事故」がおき、日本経済は大きな打撃を受けました。ご多分に漏れず、もちろん首都東京も。
東京への観光客は激減、ホテルや観光地は閑古鳥、都内で働くアジアからの労働者は本国に退避。多くの業界から悲鳴が・・・
日本人は大和魂で団結し自粛モード、みごとに3S<節約・省エネ・縮小>に徹し、夏の電力不足予想も乗り越えました。
ようやく消費も回復、経済は上向きに、復活への道を歩みはじめたかに見えました。

しかし、世界を牽引してきたアメリカの減速、ギリシャ破綻からイタリア、スペインに波及した欧州財政危機。この衝撃はたちまちグローバル社会を駆け巡り、日本経済も大きな影響を受けています。希望の星であったインフレモードの新興国すら減速。今や世界中の景気がスローダウン。
消去法による選択で、世界のマネーが日本に集中し、1ドル=75円割れも体験。震撼!
輸出大国日本は幾重もの厳しい試練が今日も続いています。

消費マインドは「冷え込み」、一方、付加価値が高いモノは粛々と伸びている

円高のあおりを受けた製造業などが東アジアに移転し、産業の空洞化が起きてきています。
それにより国内の雇用環境は悪化し、完全失業率は4.5%。復興需要は期待できるも、国債発行は日本国の借金拡大を意味します。家計は不安が募り、懐はさみしく、財布のひもはますます固くなっています。

総務省家計調査によれば、二人以上世帯における平成23年10月の前年同月比(実質)家計収支は、【消費支出は▲0.4%、住宅を除くと▲1.7%(実質の前年同期比)】とマイナスになっています。総世帯における23年度7~9月期の前年同月比(実質)平均でも、【消費支出は▲1.8%】です。中身をのぞくと、水光熱費、交通費、自動車関連費のマイナスが目立ちます。
また、【家計消費支出は4期連続実質減少】で、震災復興の道のりはまだまだ遠いようです。

不景気は、価格の安いもの、便利なものへと消費者を導きます。
元気な企業は、ユニクロ、ニトリ、マクドナルド、アマゾン。
集客力があるのは、上記と100円ショップ、カフェ、回転寿司、居酒屋、日帰り温泉。

一方、一見価格は高いが、使いやすく丈夫で長持ち、最終コストは決してそう高くない優れモノも選ばれています。
それは上質で飽きのこないシンプルなデザイン、使っていて常に心ときめく付加価値が高いモノ。
コンサート、アイスショー、タイトルのかかったスポーツ観戦、歌舞伎などは、チケッGetが難しい。

東京エリアで挙げてみたいのは、値段は高いけど一度は訪れてみたい高級レストラン。
比較的利用しやすいランチタイムは予約でいっぱい、ディナーは記念日に格好と、高級であることが消費者の心をつかんでいます。

そして、特筆したいのが、高価だけど爆発的に売れている「スマホ」。
周囲を見回すと、ドミノ倒しのようにケ―タイからスマホへの大転換が進行中、モノが売れにくい時代に活路を見出し、冷え切った消費に刺激を与えたヒット商品です。

「ムダはしないが使う時は使う」というメリハリある消費行動が見えてきました。
自分の目で見て確かめ、商品情報をチェックして購入する「賢い消費者」が増えてきています。

今後5年間は… 内憂外患?

世界経済が減速の中、日本の今後を占うには、政局がどう展開するかがポイント。

景気対策、震災復興、消費税率アップ、難題が山積みです。
円高がこのままずっと続くとも考えられず、いずれ金利上昇、物価高騰、インフレへと向かうでしょう。その転換点がいつかは不透明ですが、5年以内に訪れる可能性もあります。そうなると、資産を日本円だけに集中していては苦しくなるので、早めに資産の一部を海外に分散しておくのが賢明です。
2012年は国際分散投資への関心が高まり、海外投資ブーム到来が予測されます。

景気回復は神頼み!?

初詣・・・願いはMAX、賽銭はminimum・・・

日本国民共通の願いごとは、まさに<景気回復>。
毎年恒例の初詣、三が日の参拝者数日本一は東京渋谷区代々木の『明治神宮』で320万人。
なんと東京都民1,318万人の4人に1人が明治神宮に参拝していることになりますが、東京以外から訪れる人もかなり含まれた数字でしょう。

半端ない寒さの元日、参拝の大行列の末尾についたら最後、トイレにも行けない。
牛歩ともいうべき行列に身を任せ、静かに耐え、ひたすら日本人の美徳を貫く。
初詣で風邪をひいた…なんて縁起でもないことにならないよう防備が大切。
ダウンの下はヒートテックにホッカイロ、
帽子、マフラー、マスク、手袋、レッグウォーマーでフル装備、イザ出陣!

さて、行列の先での願いごとは?
賽銭金額と願いごとの質や量は無相関、個別性が高い。
今年のお賽銭は紙幣か貨幣か?

最前列での参拝中、後頭部を突撃して投げ込まれてくるのはコイン限定。
紙幣はお払い志願の特別祈祷者と、棲み分けされているようです。

合格、健康長寿、結婚成就、商売繁盛祈願など、願いごとはさまざま。
景気回復、早期震災復興を祈願する姿が目立つのが、2012年の初詣模様といえるかもしれません。

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