葬儀の風習 【2006年 第3回】

【2006年 第3回】 葬儀の風習  相続

山根 裕子 (ヤマネ ユウコ)⇒ プロフィール

 

都市部では、住環境の問題や近隣との付き合いも変化して、葬儀はパターン化していますが、全国には様々な葬儀の風習があります。
同じ県の中でもしきたりは異なりますが、北関東各県の特色とされるものは以下のとおりです。

茨城県

通夜ぶるまいに餅、おこわ、酒が用意される。
火葬は葬儀の後に行なわれる地域と通夜前に火葬する地域がある。
水戸市では火葬の後に通夜が行なわれる。
葬儀のあと棺を担ぐ人を「陸尺」といい、組内の者が担当する。
また放生という鳩を放つ儀式も見られる。
火葬場では読経のあと焼香、骨あげ。
当日に埋葬することが多く、埋葬を終えたら塩をかけて清めそのあとに精進落としを行なう。
香典返しはその場返し。

栃木県

宇都宮市では葬儀の後に火葬される。
農村部では玄関先に竹で仮門を作り棺をくぐらせる。火葬場で焼香のあと、火葬。
骨あげのあと、塩で体を清めてから遺骨を安置し、初七日法要のあと精進落としが行なわれる。
土葬を行なう地区も残っている。香典返しはその場返し。

群馬県

「隣保班」が葬式組として近隣の相互扶助が生きている。
県南部前橋市や高崎市では、伝統的習慣は失われつつある。
通夜ぶるまいは「きよめ」として刺身を出す習慣がある。
郡部や農村部では告別式のあと、「ではの飯」という膳が回されることがある。
葬儀の後、火葬場では遺体を荼毘にふし、骨あげののち、自宅の後飾り壇に遺骨を安置。
ここで初七日法要を行ない精進落とし。これを「あと念仏」と呼ぶ。
香典返しはその場返し。

山梨県

夜・葬儀とも自宅で行なわれることが多い。
大月市など火葬を行なってから葬儀を行なう地域がみられる。
火葬率は6割と低い。
友引でも葬儀を行なうことが多く、その場合には「供人形」を入れたりする。
出棺に際し念仏講の人々が御詠歌を唱えたり、庭に仮門を作ってそこから棺をくぐらせたりする。
甲府市では葬儀後に火葬をし、埋葬してから初七日法要を行なう。
香典はその場返し。

資料:「都道府県別冠婚葬祭大事典」主婦と生活社
「日本の葬送・墓制全十巻」明玄書房他

【2006年08月08日00時00分】

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