配当利回りと配当性向(基礎編) 【2016年 第1回】

【2016年 第1回 配当利回りと配当性向(基礎編)】イメージ図で理解すると投資指標って簡単!

伊藤 美恵(イトウ ミエ)⇒ プロフィール

今年の4月にジュニアNISAが始まります。
投資に対する興味がまた高まりそうですね。
皆様も投資に取り組む前に、勉強をしたいと思って参加した株式セミナーにて、講師のお話が理解出来ないと感じたことはありませんか?
その原因のひとつが、実は投資指標なのです。
投資指標が理解出来るだけで、難しいと感じるハードルは、ずっと低くなります。
今月は、配当利回りと配当性向(基礎編)を取り上げてみたいと思います。
配当利回りと配当性向は、配当関係の投資指標です。
ただし、同じ配当という言葉が付きますが、まったく別のものです。

 

配当利回りとは

配当利回りとは、配当金により何パーセントの利回りになるかを示す指標です。
配当利回りが高いほど、株価は割安とされています。
配当利回りは、一株当たりの配当金(予想)を株価で割って求めます。
ただし、パーセンテージを表記させるために、求めた数字に100を掛けて求めます。

配当利回りのイメージ図

上記の計算式を、イメージ図に表したものです。

配当利回りは、一株当たり配当金(予想)が上昇すると配当利回りが高くなり、一株当たり配当金(予想)下落すると配当利回りは低くなります。
また、株価が下落すると配当利回りが高くなり、株価が上昇すれば配当利回りは低くなります。

 

そのため、株価が下落すると、配当利回りが高くなりますから、配当目的の買い注文が増えるのです。
そのことにより、株価の下支えされることも期待できます。

 

ただし、株価の下落が続き、配当利回りが上昇を続けた場合、近い将来、業績の下方修正や配当金の減額修正がなされる場合がありますので、注意が必要です。
株価の下落が続くというのは、何らかの原因があります。
外的要因のこともあれば、内的要因のこともあります。
外的要因の代表的なものと言えば、景気が悪くなることによっての全体的な経済の縮小です。
この場合、企業も少なからず影響を受け、株価も下落する、業績も縮小すると言うことがあります。
そうなると、企業は純利益も少なくなり、業績の下方修正や配当金の減額修正に繋がります。
内的要因とは、企業の業績がなんらかの理由で業績が悪化することにより、純利益が少なくなることです。
純利益が少なくなるということは、配当金を払う原資が無くなることを意味しますので、業績の下方修正や配当金の減額修正が行われるのです。

 

配当性向とは

配当性向とは、当期純利益のうち、株主に対する配当金にいくら回されているかを示す指標となります。
配当性向は、一株当たり当期配当金を一株当たり当期純利益で割って求めます。
ただし、パーセンテージを表記させるために、求めた数字に100を掛けて求めます。

 

なお、一株当たり当期純利益は、当期純利益を発行済株式総数で割って求めるのでしたね。

配当性向のイメージ図

上記の計算式を、イメージ図に表したものです。

例えば、当期純利益が100,000円の発行済株式総数が1,000株ある企業だとした場合、

(当期純利益100,000円)÷(発行済株式総数1,000株)=(一株当たり純利益1,000円)

 

今期の一株当たり配当金が300円だった場合の配当性向は、

(一株当たり配当金300円)÷(一株当たり当期純利益1,000円)×100=(配当性向30%)

 

つまり、利益の30%を配当金に充てている企業という意味です。

 

イメージ図を見て、気付いて欲しいことがあります。
通常は、利益の中から配当金を支払っていると言うことです。
ただし、赤字であっても、配当金を支払っている会社もありますし、利益が少なくても利益以上に配当金を支払っている会社もあります。
その場合は、前期等の利益や資本金を削って配当金を支払っているということです。
もちろん、今期赤字でも、配当金を支払っている会社もあります。

 

本来、企業は利益があるからこそ、安心して配当金が支払えるのです。
そのため、配当性向が高過ぎることは、設備投資に回す資金が無くなることを意味します。
もちろん、利益以上に配当金を支払っていたり、今期赤字であっても支払っていたりする場合も同様です。

 

一般的に配当性向が低い会社が悪いという訳ではないのです。
企業は利益を設備投資に回して企業を成長させるといった理由がある場合があるためです。

 

過去に村上ファンドが騒がれた時期に、「物言う株主」という言葉が流行りましたが、利益があるから株主に配当金として還元しろ、もっと株主を大事にしろ、という株主の声に従っていると、企業は設備投資に回す資金が足りなくなり、今後、企業の成長の足かせになる場合もあります。

 

配当金を沢山もらえば、投資家にとっては嬉しいですが、配当性向が高過ぎる会社や純利益がない企業の配当金は、その企業に長期投資という観点から言うと、少し注意する必要があるかもしれません。

 

まとめ

イメージ図で、配当利回りと配当性向を解説しましたが、いかがでしたか?
配当利回りは分かっている方も多くいるかと思いますが、配当性向って配当利回りとどう違うの?と思っていた方については、今回、なるほど~と思って頂けたのではないでしょうか?
ぜひ、色々な企業の配当性向の数字を見てみてくださいね。

 

次回は、配当利回りと配当性向(実践編)についてお話致します。

  • コメント: 0

関連記事

  1. Let’s Enjoy “旅”『 賢く楽しく“旅”しましょう。』【2010年 第 4 回】

  2. 知っておこう!歳の差夫婦の遺族年金のポイント その2【2013年 第11回】

  3. ヤマカゲからのラジオこぼれ話 その1【2013年 第1回】

  4. プチ株投資をはじめてみては?【2006年 第1回】

  5. パートとしての働き方と年金【2017年 第2回】

  6. 増税の景気に対する影響【2012年 第4回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。