人材派遣 ~ 中部地区で高まる「営業・販売職」シェア~【2005年 第4回】

【2005年 第4回】人材派遣 ~ 中部地区で高まる「営業・販売職」シェア~ 派遣

大石 泉(オオイシ イズミ)⇒ プロフィール

経験してみないとわからないことは多いものだが、「派遣」という働き方もそうだといえる。
派遣は、契約社員、請負、パート、アルバイトなどとともに、非正社員に分類されるが、派遣は雇用者が派遣会社と契約を結ぶもの。
昨年3月に製造現場での活用が解禁となった。

非正社員比率

総務省などによると、日本の正社員率は1990年代に全就業者の57%前後で推移したが、2002年には53%まで低下。
2010年以降には半分以下になるとの推測もある。
一方の非正社員比率は2002年で25%。2015年には33%超に上がるとも予測される(リクルートワークス研究所)。

人材派遣の需要

人材派遣の需要は引き続き堅調だが、金融、営業職の需要が目立つ。
消費の中心を担う主婦層へアピールする商品を持つ企業では、主婦業や子育て経験のある35歳以上の人材を営業職にと注目。警備会社の家庭向け警備システムやハウスメーカーのリフォームなどがその例だ。

人材派遣会社のパソナでは、今年の2月より「キャリアママセミナー」と題して講演会やセミナーを実施。主婦の再就職をバックアップする新事業を始めている。
職場を離れていると最初の一歩を踏み出すのに勇気がいるものだが、ウォーミングッアップができる環境は嬉しい。

派遣事業に関するデータ

厚生労働省が今年の2月に発表した「労働者派遣事業の平成15年度事業報告」をみてみよう。これは、全国の派遣元事業所16,804事業所の事業運営状況のとりまとめだが、派遣事業所の多さにも驚く。

さて、平成15年度だが、派遣労働者数は約236万人(対前年度比10.9%増)。
常用換算派遣労働者数:全国743,640人(同7.2%増)、同じく東海ブロック77,156人(同16.9%増)。
派遣先件数:全国424,853件(同17.0%増)、東海ブロック43,235件(同23.8%増)。
事業所の年間売上高:総額23,614億円(同5.1%増)、東海ブロック2,498億円(同10.5%増)、と軒並み前年度増。東海ブロックも順調に数字を伸ばしている。

派遣職種の主力は、事務系職種で派遣総数に占める割合は、首都圏で64.9%、中部地区で63.5%となっている(㈱人材ビジネスフォーラム・平成17年4-6月)。
ひところ顕著であった事務系職種の頭打ちだが、首都圏・中部・近畿とも事務系の伸びが全職種の伸びを上回っている。
平成15年4-6月を100とした平成17年4-6月の中部地域の延びは、事務系121.9、全職種119.3。
派遣業界は事務系主導で延びているのがわかる。

中部地方の派遣事業の特徴

注目職種のここ3年間の総派遣人数に占める割合の推移だが、中部地域では営業・販売職の伸びが目立つ。
平成14年4-6月:2.4%⇒平成17年4-6月:7.5%、とこれは他の地域には無い伸び率である(首都圏1.5%⇒3.2%、関西地区1.9%⇒5.0%)。
他には、45歳以上の中高年派遣シェアの伸びに注目したい。
同1.4%⇒2.8%と3地域の中で唯一2%台を確保しているのも中部地区の特徴といえよう。

昨年3月に派遣解禁となった製造業務派遣人数では、中部地区で当初の62人から平成17年4-6月では275人と順調に増加。
製造業中心の愛知県では大いに期待したい。

以上、派遣を中心にみてきたが、派遣を含め雇用の大きな受け皿となっていた愛知万博が終了する。
終了後の中部地区の雇用情勢に注目したい。

【2005年10月05日00時00分】

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