【2006年 第1回 】 誰にでも必要なのです!相続準備 相続税
平川 すみ子(ヒラカワ スミコ)⇒ プロフィール
誰にでも相続は起こる
「相続」と聞いても、自分には関係がないと思われる方も多いでしょう。
亡くなった人の資産を引き継ぐことが相続だと思われがちですが、実は相続って誰にでも起こり得ることなんですよ!
民法第882条にも「相続は、死亡によって開始する」とあります。人の死亡=相続なのです。人は誰でもいつか死を迎えます。だから、誰にでも相続はおこるのです。
では、年間の相続件数ってどれくらいでしょう。
これはすなわち、年間での死亡者数ということになりますが、厚生労働省の「人口動態統計速報」によると、平成16年は102万8602人、平成17年の推計は4万8000人増の107万7000人となっています。(福岡県での平成16年死亡者数は4万1144人【前年比374人増】)
死亡者数は、昭和41年に最低となった後、年々増加傾向にあります。
これは、高齢化社会でお年寄りが増えていっていることを考えれば、ごく自然な傾向といえるでしょう。
平均の発生間隔でみると、平成16年では31秒、平成17年では推計29秒に一人の方が死亡し、相続が開始していることになります。
死亡が確認されると、死亡届を市区町村に提出し、通夜、葬儀から、納骨までと慌しく行われていきます。
そして落ち着く間もなく、さまざまな相続の手続きが待っています。健康保険の手続き、遺族年金等の手続き、死亡保険の手続き、預貯金の手続き、エトセトラ。
賃貸で一人暮らしの方が亡くなられたら、部屋の片付けや賃貸借契約の解約手続きなども必要になるでしょう。
慌しく葬儀を行い遺品をひとつづつ片付けていく時間の経過とともに、家族を失った哀しみは癒えていくといいます。
煩わしいことも多々ありますが、それがかえって哀しみを紛らわせるにはいいのかもしれないと思えば、面倒な相続の手続きもこなしていけるのではないでしょうか。
金融機関ごとに手続きが必要
さて、相続の手続きを行ううえで大変なことといえば・・・
まず、故人の財産がかなり分散されている場合。
たくさんの銀行や信用金庫などの口座があれば、それぞれの金融機関ごとに手続きが必要となります。
証券会社の口座も然り。
死亡保険も同一保険会社で複数契約ならいいのですが、保険会社が違うとそれぞれに手続きのための書類を提出することになります。
莫大な資産であれば別ですが、なるべく取引金融機関は生前中に整理しておくようにしたいものです。
「争族」対策には遺言
それから、遺産分割協議。
うちはそんなに財産がないし、子供たちの仲もいいから大丈夫・・とはいいきれません。
意外かもしれませんが、資産家といわれるお金持ちの家庭よりも、そこそこの財産しかないほうが、もめるようです。
いわゆる「争続」ですが、これは遺言で分割内容を決めておくことでかなり解消できますので、まだまだ若いから、元気だからと思わずに、もしもの時のために準備をしておくのが望ましいですね。
また、離婚経験がある場合。
離婚した配偶者との間に子供がいれば、親権がなくてもその子供は相続人になることにご注意ください。
遺産分割協議には相続人全員の同意が必要になります。
その子供がすでに死亡している場合は、その子供に子供がいれば代襲相続人となるので、人数はさらに増えることも。
相続人数が多い遺産分割協議が大変なことは想像がつくと思います。
それが今まで会ったこともない人たち同士でとなるとなおさらでしょう。
これも遺言で各相続人の相続分を指定していることで、もめずにすむかもしれませんので、今のうちから自分の相続人をきちんと把握し、どの財産を誰に残すか、もめる原因をつくらないよう配慮したいものですね。
遺言での留意点ですが、例えば特定の相続人のみに相続させたい場合でも、他の相続人の「遺留分」の権利を考慮する必要などがあります。
自分の相続の場合はどうかなと思われたら、詳しくは専門家(弁護士、司法書士等)にご相談されることをおすすめします。
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