【2006年 第6回】結婚して最初に住んだ家は今?
森 恵子(モリ ケイコ)⇒ プロフィール
私の母は80歳になりますが、新婚時代、長崎県島原市に住んでいました。
二十歳で結婚し、夫の両親一家と同居、昔はめずらしいことではなかったようです。
島原に行こう
いろいろあって、母は乳飲み子だった姉を連れてその家を出ることになったのですが、最近まで、当時のことはほとんど口にしませんでした。
その母が、ある日突然、「島原に行こう」と言い出しました。
ちょっと驚きましたが、母も年を経ていろいろなことが思い出に変わり、懐かしい場所訪ねてみたいな~くらいの気持ちだろうと、旅行気分で出かけました。
母が訪ねた家
有明海を渡るフェリーに乗り、島原に着いた後、町を散策していたら、「このお宅よ」と指差します。
当然、外から眺めるだけだと思っていたら、ためらいもなく「ごめんください」と声をかけるではありませんか。
いきなりの出来事に私は凍りつきました。
今さら訪ねて、冷たくあしらわれでもしたら、母が傷ついてしまうのではないかと気が気ではありませんでした。
玄関に現れた男性は・・・
玄関に現れた男性は、母が若いお嫁さんだった時代、良き話し相手になってくれた小さな男の子-もちろん今は60歳にならんとするそのお宅の当主-でした。
そして、一目母を見るなり「お姉さん?!」と思い出して下さり、心から歓待して下さったのです。
母の度胸にも驚きましたが、その方(母の当時の義弟)の優しさにも本当に驚きと感謝の気持ちで一杯になりました。
姉が結婚して初めて住んだ小さなアパート
私の姉が結婚して初めて住んだ小さなアパート、私鉄沿線に建っているので、今でも車窓から見えるのですが、すっかり古くなりました。
小さい頃遊んでいた公園の遊具が「こんなに小さかったっけ?」とびっくりするように、小学生だった私には何もかも新しくて夢のような「新居」、結婚に憧れたものでしたが、冷静に考えるとただの狭い2DKのアパートでした(笑)。
姉夫婦も、その後マイホームを購入し、子ども達も独立しました。ささやかな歴史を感じます。
結婚して最初に住んだ家、新しい人生が始まった場所、どなたにとっても大切な思い出でしょう。
たとえ、いろいろ苦労があったとしても。
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