池田龍也 の ちょっと気になるニュースから 【第9回】 「年頭のニュースから点描風に」

マイアドバイザー® 池田龍也 (イケダ タツヤ)さん による月1回の連載コラムです。

【第9回】 池田龍也 の ちょっと気になるニュースから 「年頭のニュースから点描風に」

池田龍也プロフィール

▼ ことしのはじまり

年頭のニュースは、経済ニュースが極端に少なかったように思います。年末まで政治の世界では「年収の壁」問題で議論が伯仲していたのとはうって変わって、この問題はいったん休戦という感じでした。
経済ニュースではなく、年始は、やはり能登地震1年の特集が目を引きました。ちょうど1年前の元旦に発生したあの地震から1年、復興の現状などが伝えられていました。それ以外には、終戦から80年、昭和100年といった特集が目立っていたように思います。未来を語るのではなく、過去を振り返るトーンが強かった印象です。

▼ 元旦の新聞1面トップの見出しは以下の通り 

・逆転の世界 備えよ日本(日本経済新聞)
・つながり耕す能登と一緒に(朝日新聞)
・中国 宮古海峡で封鎖演習(読売新聞)
・デジタルで問う「真の民意」(毎日新聞)
・別姓 小中生の半数反対(産経新聞)

多くはタイトルだけ見ても内容がよく分からないテーマでした。それと、気になったのが、企画ものがトップということで、いわばいつでもいい記事、といっては失礼ですが、なんだか今年を象徴するようなナマの情報を発信するということではなく、いわば解説記事というような体裁が多かったように思います。読売新聞だけが情報で勝負していたのが目立ちました。

ネットの影響なのかもしれませんが、新聞も、情報で勝負するより、解説記事、企画記事へ傾斜しているのでしょうか。ネット時代の新聞、あるいは旧メディアの役割とは何かを、当事者の皆さんがどう考えているのかを知りたくなりました。

(このくだりはすべて個人的感想です!!)

▼ 石破茂首相6日の年頭記者会見のニュース

<年金制度改革「与野党協議を」 石破首相、法案成立へ合意目指す>
年金制度改革に向け、石破茂首相は6日の年頭記者会見で「与党も野党もなく合意を探ることが求められる。各党の建設的な議論を期待する」と与野党協議を呼びかけた。24日に召集される通常国会への改革関連法案提出を目指す中、少数与党の状況で法案を成立させるには野党の協力は欠かせず、合意を取り付けたい考え。
厚生労働省が昨年末にまとめた制度改革の報告書は、厚生年金の積立金を使って全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)を底上げする改革を、経済の停滞が続くことを条件に行うと位置付けた。だが底上げには財源の半分を賄う国庫(税)負担が兆円単位で必要となる。負担増を国民から批判されることへの警戒感は強い。野党は財源確保策や企業負担の在り方を追及する構え。

メディアの記事の問題なのか、野党の姿勢の問題なのか分かりませんが、「何でもすぐ追及!」ではなく、「国民のために合意形成をめざす」と、何故ならないのかが一連の制度改革の議論でも、いつも気になっていたところです。

マーケット ことしも荒っぽい動きで始まる

株式市場は、年明け早々、下がったり、上がったり、方向が定まらない、目まぐるしい動きとなりました。実体経済と関係なく、マーケットが、またまた思惑で乱高下しているという印象です。アメリカの景気、金利がどうなるのか、日本との金利差がどうなるのか、2025年もマーケットはこのポイントを軸に蠢いていくようです。

<株価 600円以上値下がり 世界経済の先行きに慎重な見方広がる>
2025年1月6日
ことし最初の取り引きとなった6日の東京株式市場、世界経済の先行きへの慎重な見方を背景に、売り注文が広がり、日経平均株価は600円以上、値下がりした。
6日の東京株式市場は、取り引き開始直後には株価が上昇する場面もあったが、午後に入って、日経平均株価は一時、600円以上値下がりした。市場関係者は「今月20日に就任するアメリカのトランプ次期大統領が実施する経済政策に不透明感が出ていることに加えて、中国経済の減速への懸念など世界経済の先行きに慎重な見方が広がった」という。

<株価 一時900円以上値上がり>
2025年1月7日
7日の東京株式市場は6日のニューヨーク市場でハイテク関連の銘柄が多いナスダックの株価指数が上昇した流れを受けて半導体銘柄を中心に買い注文が入っている。外国為替市場で円安ドル高が進んでいることで輸出関連の銘柄も買われ、日経平均株価は一時、900円以上値上がりした。

長期金利上昇

マーケットが日米金利差に敏感になっている中で、アメリカの金利が高止まりし、日本の長期金利も上がっています。日銀の金融政策で、長い間低く抑えられていた日本の長期金利は、政策の変更で、この1年じわじわと上がってきていましたが、それをさらに押し上げる動きとなっています。

<長期金利上昇、11年以来の1.2%に 米金利高が波及>
1月10日
10日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時、1.2%まで上昇した。2011年5月以来、およそ13年8カ月ぶりの高水準。米金利が上昇傾向にあり、国内にも波及している。

世界のトップニュースから

目を世界に転じると、正月明けの世界のトップニュースは以下のような項目でした。

・韓国、ユン大統領令状きょう期限
・中東情勢、ガザ攻撃80人死亡
・ロシア軍、ドネツク拠点掌握
・アメリカ、マスク氏欧州政治介入も
・オーストリア、首相辞任し極右と連立

世界情勢の年明けは、中東、ウクライナ、アメリカ、韓国など、去年から引き続き政治や軍事のニュースが大きなウェイトを占めていました。世界はどうも2025年も政治の時代が当面続きそうです。

ことしを展望すると

キリスト教徒にとっては、ことしは特別な年だそうです。バチカンでは、25年に一度しか開かない「天国への近道」といわれるサン・ピエトロ大聖堂の「聖なる扉」が開く年だそうで、世界中から巡礼者が訪れるそうです。

サン・ピエトロ大聖堂(バチカン市国)

国内では、石破政権の政策運営のかじ取りがどうなるのか、経済では「失われた30年を克服、デフレ経済からの脱却」が引き続き関心の的、日本経済はデフレの長いトンネルから抜け出すことができるのか、あるいは光明が見えるのか、国際情勢ではなんといってもアメリカのトランプ政権が何を発信していくのか
世界情勢は、依然として先行き不透明ですが、「天国への扉」ならぬ「未来への扉」が開く年になるのかどうか。
さてこの1年どうなりますことやら。

 

 

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