【2008年 第2回 「ねんきん特別便」対応マニュアル ~その②~】年金コラム
佐藤 朋枝(サトウ トモエ)⇒ プロフィール
国民年金は、昭和36年4月1日スタート
昭和36年4月1日当時、20歳以上であった人の大半が関係してくるのが、国民年金スタートの年号だ。
中には当時の年金手帳を大切に保管している人がいて、「国民年金の資格取得が昭和35年10月、と手帳に書いてある。
けれど、特別便に昭和36年4月1日となっているのは、どうして?」と驚いて尋ねてくる。
確かに、国民年金制度の発足は年金手帳に書いてある通り、昭和35年10月。
しかし準備期間を経て、実際の保険料徴収が始まったのは、昭和36年4月1日から。
このため、国民年金の加入期間は、昭和36年4月1日がスタートになっている。
昭和36年4月1日前の、厚生年金の記録がない!
「昭和36年4月1日の前から会社で働いていた期間が、特別便にのっていない!この分の厚生年金加入月数が消えている!」、年金を受給中の女性から寄せられる質問ナンバーワンが、これだ。
このタイプの特別便には、『昭和36年4月1日~会社を辞めた日の翌日=合算』、と記載されている。
この『合算』とは『合算対象期間』のことであり、年金受給に必要な期間(原則25年)に含めることはできるが、年金額の計算には入れることができない期間である。
昭和30年代、40年代は今と違って、厚生年金の加入が20年以上なければ、厚生年金を受給できない制度になっていた。
このため、結婚を理由に会社を辞めた女性などは、支払っていた厚生年金保険料を『脱退手当金』という一時金の形で受け取るケースが非常に多かった。
『脱退手当金』を受け取ってしまうと、その一時金の計算の基となった期間は、厚生年金の加入期間ではなくなる。
そして、昭和36年4月1日以降のみが『合算対象期間』に姿を変えるのだ。
このように説明すると、8・9割の方が「脱退手当金など、受け取った覚えはない!」と訴える。
何年何月何日に、いくらの金額を支払った、という社会保険事務所の記録を提示しても、全く分からないという方がほとんど。
こうした訴えに、総務省の第三者委員会でも、脱退手当金の受給の有無に関する申立を審議することになった。
しかし、当時は銀行振り込みではなく、会社を経由して支払われていたケースもあり、客観的な証拠が乏しいために審議が難しくなっている。
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