【2008年 第4回 「マンション管理のルールを知っていますか」】マンション管理コラム
佐藤 益弘(サトウ ヨシヒロ)⇒ プロフィール
「上下階の騒音」「駐車場問題」「ペット飼育」は、集合住宅における3大トラブル~3P〈ピアノ・パーキング・ペット〉~と言われています。
ひとつ屋根の下、また、隣同士壁向かいに、生まれも育ちも生活観も異なる人々が共同生活を送るマンションライフにおいて、不平・不満なく全員が平穏と暮らすことは非常に困難で、ある意味、共同住宅で暮らす上での宿命といっても過言ではないでしょう。
しかし、居住者個人の主観的な基準だけで物事を判断していると生活共同体としてのバランスが取れなくなることがあります。
もっとも分かりやすい例が「上下階の騒音」です。
上階の人は気を付けて生活している“つもり”でも、階下では「うるさい」と感じているかも知れません。
一方、「いつも迷惑をかけている」と内心、心配していても階下の住人は何とも思っていない・・・などということもあるでしょう。
つまり、個人の判断基準にはバラツキがあるので、少しでも騒音を減らすには個人差に一定の“判断基準”を作るしかないのです。
この共通認識できる“判断基準”が『ルール』であり、マンションで暮らす誰もが守らなければならないルールが「管理規約」なのです。
個々のマンションの状況が違う以上、管理規約は組合独自に作成されることになりますが、1から作成するのは難しいのが現状です。
そこで、国土交通省では管理規約を定める場合の指針として「標準管理規約」を作成しています。
この標準管理規約は何度か改訂を経て、今後も環境変化に対応するために改訂が行われるでしょう。
問題は、築古マンションではできた当初に作成されたままになっているケースも多く、現状に対応できないなどの問題が生じています。
例として、平成9年の改正点について4点だけ補足しておきましょう(単棟型のみ)。
例えば、築年数の経過したマンションが今後増加することから、大規模修繕工事を円滑に進めるために長期修繕計画の策定を管理組合の業務に組み込みました。
また、契約社会への移行から駐車場の利用について「専用使用権」から「駐車場使用契約」へと改めています。
さらにトラブルを未然に防止し、建物全体への影響を考慮して自己所有部分である専有部分のリフォームにも一定のルール(届出制)を設けました。
最後に床下配管など専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体になっている部分の管理は、管理組合が行うことができるようになりました。
「管理のための憲法」とも呼ばれる管理規約。快適なマンションライフを送るためにも全員で守っていきたいものです。
このコラムは、熊本日日新聞(2003年8月18日)に掲載された「快適マンション考」を加筆修正したモノです。
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