地方における教育費【2011年 第6回】

【2011年 第6回】 地方における教育費 ~家計コラム 教育費(地方)~

キムラ ミキ  ⇒ プロフィール

前回は、地方からの進学だからこそ、利用できる制度についてお話をしました。教育費の積立不足の補てん手段として、その制度を活用できることが望ましいわけですが、募集枠は無制限ではないため、成績等の審査もあります。

また、少し余談となりますが、以前セミナーでお話をさせて頂いた高校の先生から、進学決定時期についてお話を伺ったことがあります。

そのお話によると、予め、早い段階から進学先を考えている生徒がいる一方で、高校卒業間際になってから、それまで進学の「し」の字も発していなかった生徒が、いきなり進学希望の声をあげるケースも少なくないとのこと。

当然、進学先の選定にも時間的余裕がありませんし、それより何より、予定していなかった進学プランが急浮上した今後の資金計画に、ご両親が右往左往するケースを何度も目にしたと、その先生はお話されていました。

教育ローン

希望通りに各制度を利用できない場合や、進学プラン急浮上の場合などに備えて、各種教育ローンについて考えてみたいと思います。

教育ローンには、公的教育ローンと民間教育ローンがあります。公的教育ローンには、日本政策金融公庫が扱う教育一般貸付と、ゆうちょ銀行が行う郵貯貸付があります。
今回と次回にわたって、これら公的教育ローンの内容をチェックしてみましょう。

教育一般貸付

教育一般貸付は、日本政策金融公庫が行う教育ローンをいいます。融資額は、学生(生徒)1人につき300万円が上限です。返済期間は15年以内です。
融資を受けたお金の使い道は、進学において今後1年間に必要となる費用となっています。つまり、入学金や授業料といった学校へ納付する費用に使途を制限していないということです。

以前もお話をしましたが、地方から進学する場合、アパート探しや生活備品の準備など新生活の準備等にも費用がかかることをお話しました。このような進学に伴って生じる費用にも融資を受けたお金が使えるのは、積立不足分の補てんとして教育ローンを利用する上では、使い勝手のよいポイントと言えるでしょう。

また、在学中は利子のみ返済(元金据え置き)することも、選択することができます。例えば、2011年6月現在金利2.85%で、200万円を借り入れ、返済期間を10年とする場合(ボーナス払いなし)、毎月の返済額は19,313円ですが、在学中(例えば2年間)は利子のみ返済することも選択した場合、在学中は4,750円の返済となりますので、負担は軽くなります。
ただし、元金据え置き期間終了後は、返済額が23,323円となり、在学中は利子のみ返済(元金据え置き)することを利用しなかった場合よりも返済額の負担は大きいので注意が必要です。

収入制限

教育一般貸付の貸付には、収入に制限が設けられています。お子様の人数によって異なりますが、例えば扶養しているお子様が2人いる場合、世帯の年間所得は890万円(給与所得者の場合)以内である必要があります。
ただし、特例要件もあります。世帯の年間収入(所得)が990万円(770万円)以内であり、以下の(1)~(6)に該当する場合は申し込み資格があります。

(1)勤続(営業)年数が3年未満
(2)居住年数が1年未満
(3)返済負担率(借入申込人の(借入金年間返済額/年間収入(所得)))が30%超
(4)借入申込人またはその配偶者が単身赴任
(5)ご親族などに要介護(要支援)認定を受けている方がおり、その介護に関する費用を負担している
(6)ご親族などに高額療養費制度または難病患者等に対する公的医療助成制度を利用している方がおり、その療養に関する費用を負担している

次回は、郵貯貸付についてお話していきます。

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