【2011年 第7回】 地方における教育費 ~家計コラム 教育費(地方)~
キムラ ミキ ⇒ プロフィール
教育ローンには、公的教育ローンと民間教育ローンがあります。公的教育ローンには、日本政策金融公庫が扱う教育一般貸付と、ゆうちょ銀行が行う郵貯貸付があります。
今回は郵貯貸付についての内容をチェックしてみましょう。
前回は、日本政策金融公庫が扱う教育一般貸付についてお話をしました。今回は、もう一つの公的教育ローンである郵貯貸付について内容をチェックしていきたいと思います。
郵貯貸付
郵貯貸付は、全国のゆうちょ銀行(約200店舗)または簡易郵便局を除く全国の郵便局(約20,000局)が窓口となっている教育ローンです。融資額は、学生(生徒)1人につき200万円が上限ですが、教育積立郵便貯金の現在高の範囲内となっています。
前回お話をした教育一般貸付とは、今回お話をする郵貯貸付は、教育積立郵便貯金の預金者のみが利用できるという点で異なります。
ちなみに、教育積立郵便貯金の新規預入は平成19年9月末で終了しています。つまり、既に平成19年9月末までに教育積立郵便貯金の積立を始められた方のみ、利用できる教育ローンです。
融資を受けたお金の使い道は、教育一般貸付と同様に進学において今後1年間に必要となる費用となっています。つまり、入学金や授業料といった学校へ納付する費用に使途を制限していません。また、その他、利率や融資の対象となる学校なども教育一般貸付と内容は変わらないのですが、大きく違う点は教育ローンの利用にあたって、収入に関する制限がないという点です。
ろうきんの教育ローン
公的な教育ローンとして、現在利用できるのは教育一般貸付、および郵貯貸付の2つですが、準公的教育ローンとして、各労働金庫(以下、ろうきん)の教育ローンをあげておきましょう。
ろうきんは主に労働組合、消費生活協同組合、公務員・私立学校教職員組合などの労働者団体によって組織される非営利の金融機関であるため、特に、ろうきんの会員である場合には、比較的緩やかな融資条件で利用することができます。
例えば、2011年8月現在、教育一般貸付の金利は2.85%である一方、中国ろうきんの場合、ろうきんの会員であれば、最大1.2%の金利優遇を受けることができるため金利3.1% で教育ローンを利用することができます(固定金利で5年超10年以内で返済する場合)。なお、融資限度額は1000万円です。
また、ろうきんの会員以外でも、インターネット専用の教育ローンを利用する場合であれば、融資限度額500万円を10年以内の返済期間で利用することができます(中国ろうきんの場合)。ただし、これらの内容は各ろうきんによって、異なりますので、詳細は各ろうきんにお問い合わせください。
優先順位を考えよう
公的教育ローンとして、教育一般貸付、および郵貯貸付、準公的教育ローンとしてろうきんの教育ローンについてお話をしてきました。
教育費の積立不足や突発的な教育費の発生に備え、資金調達手段の優先順位をいま一度確認しておきましょう。
教育費の積立不足など、不測の事態となった場合に、まず利用を検討するべきは奨学金です。
独立行政法人日本学生支援機構が行うものや自治体、大学などの各教育機関独自運営している奨学金などを検討してもなお、資金不足である場合に、教育ローンを検討するのが順当です。
とはいえ実際に、現在すぐに公的教育ローン(準教育ローン除く)として利用できるのは、教育一般貸付のみといってもいいでしょう。
確かに、固定金利で10年程度の長期に渡って返済を考えたいという場合であれば公的教育ローンはベストマッチといえますが、それ以外の返済バリエーションも考えてみたい場合には民間教育ローンの検討を考えてみるのも一案。
次回は、民間の教育ローンについて、具体的な例をいくつか取り上げてみたいと思います。
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