【2011年 第8回 】投資信託のしくみ② ~金融商品の仕組み~
鈴木 暁子(スズキアキコ)⇒ プロフィール
具体的に投資信託を選ぶ際、どのようなことに注意すれば良いでしょう。
新聞を見ても分かるように、投資信託の数は数千本もあります。投資信託をスタートするにあたり、キホンを押さえておきましょう。
投資信託選びのポイントはコスト
前回は投資信託の分類からリターンやリスク度合いの見当がつけられるお話をしました。投資信託を選ぶ際、もうひとつ重要な視点があります。それはコスト。
投資信託は他の金融商品よりもコスト意識を求められるのです。
投資信託には購入時、保有中、換金時にそれぞれコストがかかります。
販売手数料は購入時にかかるものです。今は無料のもの(ノーロード)も増えてきました。
高いものでは3.15%程度ですが、最近流行りの通貨選択型ファンドでは4%を超えるものも!頻繁に購入したり、積立購入している人には販売手数料は無視できません。
信託報酬は保有中ずっとかかるもので、0.5%程度から2%くらいかかるものまであります。投資信託は基本的に半年や1年で換金するものではないので、ランニングコストとしてジワジワ効いてきます。
投資信託の解約があると、ファンドマネージャーは現金を確保するために、株や債権など保有資産を売却する必要が出てきます。その際かかるコストを残された投資家が負担するのでは不公平になるということで、解約者からそうしたコスト分として徴収するのが信託財産留保額です。言い換えれば解約ペナルティーのようなものです(0~0.5%程度)
ところで販売手数料や信託報酬は、商品のリスクと比例しています。手数料がかかるということは、それだけ手間をかけるということ。複雑な仕組みを持った商品です。投資信託を選ぶ際、このようにコストだけを見てもリスク度合いの見当がつけられます。
また、先ほども述べましたが、投資信託は1年程度で解約するものではありません。したがって販売手数料(3.15%)、信託報酬(2%)、保有期間3年だったとすると、10%近いコストを支払うことになります。10%のリターンを目指すとなると、必然的にリスクも高めになるということです。
コストはトータルで測る
ちなみにコストは販売手数料や信託報酬など、トータルで測りましょう。たとえば、
A)販売手数料:3.15% 信託報酬:0.5%
B)販売手数料:2.0% 信託報酬:1.0% のケースでは、一見Bのほうがオトクに見えますが、3年以上保有するとトータルコストは逆転するのです。
コスト意識を持つということは、その分運用の安全度を高め、効率をアップさせるということ。投資信託を選ぶ際、しっかり目論見書をチェックしましょう。また、ネット取引に抵抗を感じない方であれば、店頭よりもネットで購入するほうが同じ投資信託でもコストが安い場合がありますので比較することをお薦めします。
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