【2011年 第9回】 ETFのしくみ ~金融商品の仕組み~
鈴木 暁子(スズキアキコ)⇒ プロフィール
ETF…。聞いたことはあるけれどよくわからない、という人が意外と多いので す。ETFは投資信託と似ていますが非なるもの。ETFの特徴を知り、上手に活用 することで、資産運用の幅を広げていきましょう。
ETFとは
ETFはExchange(取引所で) Traded (取引される) Fund(投資信託)といって、国内外の株価指数などに連動するように運用する上場投資信託です。
一般の投資信託は取引所には上場していませんが、ETFは上場しているという点では株式に似ており、 しかし商品のしくみは投資信託という商品です。
つまり、投資家から資金を集め、それをいろいろな対 象に投資し、得られた収益を投資家に還元(分配)するというしくみは投資信託と同じ。売買のしかたは株式と同じというものです。
では具体的にETFの特徴をみていきましょう。
①売買価格がわかりやすい
たとえば投資信託を今日の午前10時に購入したとしましょう。その時点では、自分がいくらで買えたのかわかりません。
夜になって基準価額が算出され、そこではじめて買値がわかります。
しかし、ETFの 場合は株式と同じ。つまりリアルタイムの値段で売買します。
これが投資信託とETFのもっとも大きい違いといえるでしょう。
②一般の投資信託よりコストが安い
またETFの手数料は投資信託より安いのもポイントです。特に保有期間中ずっとかかる信託報酬が安いということは、利回りの面で優位性があります。
資産運用ではコスト意識が重要ですから、このような部分もしっかりチェックしましょう。
③投資の判断がしやすい
ETFは指数へ連動するような運用をしています。したがって値動きが見えやすく、情報も入りやすいことで、売買のタイミングなど投資判断もしやすいのです。
④少額から分散投資ができる
一般の投資信託のように1万円程度というわけにはいきませんが、10万円前後からの投資が可能です。 もちろん投資信託ですから分散投資されています。
⑤信用売りも可能
株式のように信用売りも可能です。したがって下落相場の時でも収益を上げるチャンスがあります。
こうしてみると良いことばかりですが、もちろんリスクもあります。
①価格変動リスクがある
投資信託ですから、当然価格変動リスクはあります。
②分配金は保証されたものではない
投資信託同様、分配金もありますが(株式のように売買していますが、投資信託なので配当ではなく分配金です)、保証されたものではありません。
③市場の急変時の運用
指数に連動する運用を目指しているとはいえ、市場が急変した場合などは連動が難しくなることもあり、その場合は投資判断がしにくくなります。
リスクにおいては、一般の投資信託でも同様のリスクがありますから、イメージはしやすいでしょう。 |
初めて投資信託を買いたい、株式の取引を経験したい、という方であればETFはスタートしやすい商品といえます。
ただし指数連動型の投資信託ですから、短期売買で結果を出すより中長期でじっくり資産を増やすことを目指すほうが良いでしょう。
最初はイヤでも指数が目に入る日経平均株価やTOPIX連動型がオススメです。
また少し慣れてきてもっと幅広い対象に投資したいという場合には、海外の株式指数(NYダウ平均など)や、金、原油など商品を対象としたETFもあります。
国際分散投資や(株式などとは違う値動きをする)金を対象とすることで、より分散効果を高めることも可能です。
まずは少額で情報の取り方、売買のしかたなどを学び、徐々にステップアップしていきましょう。
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