【2008年 第3回 続・「食」を考える】地域コラム 甲信越・北陸
田中 美紀子(タナカ ミキコ)
中国製ギョーザによる食中毒事件の後、安全な食への関心が高まってきてギョーザを手作りへ切り替える家庭も増えてきているようです。
「冷凍ギョーザ」対「手作りギョーザ」、どちらがおいしいかというと、手間暇かけた作り手の愛情のこもった、食品添加物も加えていない「手作りギョーザ」に軍配のあがるのが当然のことでしょう。さらに、ギョーザだけでなく冷凍食品全体の売上げも減少しているとのこと、これが一過性のものではなく、手作り志向の家庭が増えることを期待しています。
先日、小学生の朝食を写真(約1,100枚)に撮って調査分析したテレビ番組がありました。ごはんを主食にした和食より、パンを主食にした洋食の方が多かったのですが、まさかと目を疑ったのが、ロールケーキやクッキーが主食になっているものがあったことです。「子供が好きだから」というのがその理由でしたが、それは「朝食」というよりも「おやつ」の範疇にはいると思います。体の基礎を作っていかなければならない成長期の子供の朝食としてはふさわしくないものです。
また、朝食を食べないなんていうのは問題外でしょう。以前の勤務先で「朝は食べない」という若者には「栄養価の高いトマトだけでも食べてきなさい」とおせっかいおばさんをしていたくらい、朝食は大事だと思っています。
今、子供の肥満率が年々増え続け、大人がかかるものとされた生活習慣病である高血圧・糖尿病・高脂血症などに子供がかかる率が増えてきているそうです。「子供が好きだから、喜ぶから」という理由で糖分過多・高脂質など偏った食生活を続けていたら、子供の一生を左右する重大事になりかねません。
次に、12歳における肥満傾向児の割合の推移(30年)をあげてみますと、30年で約2倍の12%に増加しているのがわかります。食生活の変化がはっきりと表れているのではないでしょうか。この肥満から生活習慣病などの病気に発展しやすいことが危惧されています。
出典:文部科学省調査より
性別、年齢別、身長別の標準体重から肥満度を算出し、肥満度が20%以上を肥満傾向児、
20%以下を痩身傾向児と判定。肥満度の求め方は以下の式の通り。
肥満度=〔実測体重(kg)-身長別標準体重(kg)〕÷身長別標準体重(kg)×100(%)
学童期の身長別標準体重は、簡便的にローレル指数〈 標準体重(㎏)=身長(m)3 × 13 〉で計算できますので、式のとおりに肥満度を算出してみて下さい。
私が子供の頃、母は出来合いのお惣菜を食卓に並べることはなく、魚や旬の緑黄色野菜・豆類中心の手料理が多かったと記憶しています。今振り返ってみると、コロッケやロールキャベツも手作りで、本当に時間がかかったことと思います。数十年も前のことですが、あのコロッケのじゃがいもの粒々が残った食感とそのおいしさを懐かしさとともに覚えています。
「安全な食材を使ってできるだけ手作りで栄養のバランス良く」という母の食に対する考え方の基本は、無意識のうちに、でも確かに私に受け継がれているようです。
「食」は親から子へ受け継がれていくもの。前述の番組での親の意識調査で「食べることにあまり興味がない」という回答が少なからずあったのはとても残念なことです。おいしい料理を食べる喜びは人生をより楽しくするものだと思います。親から子へ、その家庭ならではの手作りの味と食べる喜びをしっかり伝えていきたいものです。
この記事へのコメントはありません。