【2011年 第4回】 災害で使える制度を知っておこう! ~社会保険(健康保険)~
マイアドバイザー®事務局 優益FPオフィス
3月11日東日本大震災が発生し、私も阪神淡路大震災を経験したFPとして、一体何が出来るのかを模索中です。
当事者としては、最初は、あまりの経験に茫然自失した後、次に知人の安否確認。 そして一息つくと、今度は、復興への道のりが、来る日も来る日も続きます。
復興する為の、使える制度は、知っておいて損はありません。 今回は雇用保険と労災保険について、災害時の使い方をお教えしたいと思います。
雇用保険の使える制度
災害時、社長や上司と連絡が取れず、しかも、業務再開の目処が立たないこともあるでしょう。
そんな時に使えるのが、災害時における雇用保険制度の特例です。
平常時なら退職して初めて受け取れる基本手当ですが、この受給の要件に必要なのは、会社が休業しているということです。
本来なら事業主が離職票などの手続きを行うものですが、事業主と連絡が取れない時にも使えますので、労働者が、自分で手続することが可能となっています。
また、雇用保険の失業給付をもらうためには、再就職先が決定していてはだめですが、この特例措置は、事業が再開した場合の再雇用が約束されていたとしても、受け取れます。
ただ、雇用保険の失業した場合の給付を受けたのと同じ条件ですので、雇用保険を受け取るための条件を、また一から満たしていかなくてはなりません。
その他、ハローワークに行って、失業の認定を受ける日程の変更や、住んでいる地域以外のハローワークで失業給付を受けるという措置も取られています。
労災給付が受け取れない?かも
今回の東日本大震災が起こった時間は昼間の時間帯。
就業中だった方がかなりいらっしゃることが予想されます。
では、働いている時間であれば、無条件に労災保険の対象になるかというと、
「難しい」。
これにつきます。
単に、地震が起きた時に、被災したということでは、労災の給付はなされない。
これが、原則です。
労災が受給できた具体例をあげてみましょう。
会社に隣接する山が、土砂崩壊で埋没したーという例
もともと、この会社には土砂崩壊の危険が隠されていたので、「業務起因性が認められる」という判断だったのでしょう。「けがをした」「死亡した」という要件に、この業務に「伴う」危険があったから、被災したというのが条件となってきます。
ちょっと、イメージがわきにくいかと思いますが、災害だからと言って、特別扱いはしないということでしょう。天災地変の災害には業務起因性がないという予断を持たないようにとも言っていますので、就業期間中の被災については、とりあえず、労働基準監督署に一度相談されることをお勧めします。
その他、いくつかの事務処理について、緊急措置が発表されています。
労災の申請書には、事業主や、病院の証明が必要です。
この証明がなくても受理するよう対応が決められました。
今回は、災害時の雇用保険と労災保険についてお話しました。
昼間に起こった災害ということで、特に会社や労働者と関連する措置が多いのですが、次回は、ちょっと労働基準法についても触れてみたいと思っています。
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