田舎暮らしのホントのトコロ「ご近所づきあい」【2008年 第10回】

【2008年 第10回 田舎暮らしのホントのトコロ「ご近所づきあい」】地域コラム 中国・四国

キムラ ミキ

 

 

 

 

 

 

内閣府が2004年に発表した「ソーシャル・キャピタル:豊かな人間関係と市民活動の好循環を求めて」で、ソーシャル・キャピタル指数について調査されていました。ソーシャル・キャピタルという概念は、「ネットワーク(社会的な繋がり)・規範・信頼といった社会組織の特徴で、共通の目的に向かって協調行動を導くもの」と定義されている新しい概念です。簡単にいえば、ソーシャル・キャピタル指数が高いエリアは、「人と人、人と地域の結びつきが強い」ということです。

しかし、「人と人、人と地域の結びつきが強い」とは具体的にどのようなことでしょうか?当調査での調査項目を見てみますと、下表のような指標について調査が行われています。その指標をみると、分譲マンションの管理組合の集会といった義務的なご近所づきあいだけにとどまらず、信頼関係をベースとした自発的ネットワーク形成意識についても調査がされていることがわかります。

このソーシャル・キャピタル指数の数値のベスト3は、1位が島根県、2位が鳥取県、3位が宮崎県となっており、いずれも地方圏です。また、ワースト3をみてみると、1位が奈良県、2位が東京都、3位が大阪府となっており、概ね大都市圏となっています。この調査結果が全てであるとは思いませんが、田舎の方がご近所づきあいが密であるということの一片をうかがえる調査結果となっているように思います。

事実、私の地元、鳥取県米子市でもご近所づきあいは活発でした。その日に採れた野菜やお魚をご近所にあげたり、もらったりすることは日常風景です。また地域でのお祭りへの参加はもちろんのこと、町民運動会にも多くの人が参加します。お葬式があるときには、ご近所の奥さんがエプロンをつけて、大人数でお手伝いにこられます。また持ち回りで役員(婦人会等)を務めることも少なくありません。正直なところ、田舎で暮らしていても、新しく嫁いできた若い方の中にはこのようなご近所づきあいをやや面倒に思っていらっしゃる方もいるとは思います。しかし、その地域で円滑に暮らしていくためには必要不可欠な社会参加ですし、行事に参加する中でどの人が影響力を持つ人なのかが次第に分かるようになります。

少し話はそれますが、先述したソーシャル・キャピタル指数の調査のまとめによると、「ソーシャル・キャピタルが豊かな地域ほど、失業率が低く、出生率は高いなどの関係が認められた。」という見解もあります。とはいえ、人と人、および人と地域の結びつきが強いエリアでは、マイナスの側面をもっている可能性、つまり人と人、および人と地域の結びつきが強いゆえに、排他性の危険性を有している可能性も否定はできません。そのため、田舎暮しを検討する際のエリア選びのポイントとして、ご近所づきあいの多さがどうかというよりも、ご近所づきあいを通じてそのコミュニティに皆さんが馴染んでいけるエリアか?ということを体験ツアーなどを通じて、よく感じ取っておく…ということが大切です。

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