【2011年 第10回】「資格喪失後の健康保険加入、あなたの場合」 ~社会保険(健康保険)~
マイアドバイザー®事務局 優益FPオフィス
働いているとき、「辞めたい」と思ったのは、一度や二度ではないはず。
でも、ただ辞めるだけでは子どもと一緒。
辞めた後には、損のないよう、ちゃんと、退職後の手続についても確認しておきましょう。
3つの選択肢
社会保険が適用されている会社を退職すると、その後の手続として、すぐに思い浮かぶのは、市区町村の窓口に行って、国民健康保険と国民年金に加入することでしょう。ところが、それ以外にも、自分が加入していた協会けんぽ(又は健康保険組合)の健康保険に「任意継続被保険者」として加入するか、家族の扶養家族に入るという選択肢があるのです。
この3つの選択肢、保険料以外には、どんな違いがあるのでしょうか。
任意継続被保険者になるケース
まず、これまで会社で加入していた健康保険に、事業主負担分と併せた、二倍の保険料を支払うことで、「任意継続被保険者」に加入するケース。
健康保険料が2倍になるのは結構な負担となります。
ただ、任意継続被保険者の場合には、扶養家族が何人いても、負担が、加入人数によって決まっているわけではありません。
保険料合計は、これまでの2倍で済み、しかも、お給料が比較的高額な方であっても、報酬の上限は28万円と決まっています。(協会けんぽの場合)
条件によっては、国民健康保険より、有利となることもあるでしょう。
加入できるのは2年間です。
原則としては、就職する以外に、自分の都合で、「やっぱりやめる」というわけにはいきませんので、くれぐれも熟考してからにしましょう。
家族の扶養家族になるケース
「扶養家族」というと、ついつい「妻」というイメージが浮かぶかもしれません。
健康保険法の中で、扶養家族とされるのは、3親等以内の血族などという親族要件を満たし一定の収入以内であれば、扶養家族として認定されます。
*上記以外にも、「事実上の妻」や「その父母、連れ子」などが認められることもありますので、健康保険上の扶養家族というのは意外に広い意味で捉えられています。
もちろん、専業主夫である「夫」でも構いませんし、別居して暮らしている家族の扶養家族になることも可能です。
実務をしていると、夫が扶養家族になっていたり、離れて暮らしている母親を扶養家族に入れたりと、様々な扶養家族が増えてきました。
親族の要件を満たし、次に収入が一定範囲内かどうかを確認されるのですが、誤解の多いのが、130万円未満という数字です。
税金と違って、前年の収入で判定されるわけではありません。
「これからの」収入が判定されます。
ですから、自分が当分働かないで勉強するなどと決めているのであれば、雇用保険から基本手当を受給せず、しばらくは扶養家族に加入するという、選択も考えられるでしょう。
国民健康保険に加入するケース
最後の選択は、最も一般的な国民健康保険に加入するケース。
国民健康保険の保険料は、前年度の収入から算定されますので、働いている収入から控除される保険料と重みが違います。
扶養家族が多い場合には、国民健康保険では、人数によって加算されるしくみですので、更に負担がのしかかってきます。
少しでも、安くすることを考えるのであれば、失業していることを、市区町村の窓口で申し出て、「離職票」などの証拠書類を添付すれば、保険料を減額してもらえます。
(*窓口によっては、離職票でなく、「雇用保険受給資格者証」などの添付が求められることがあります、添付書類については、それぞれの窓口でご確認ください。)
また、今年のように、震災や、風水害などの天災事変が多い年には、家屋その他の財産が被害を受けると、減免の申請が出来るということも、ぜひ、覚えておきたいものです。
いかがでしょうか。
仕事を辞めてしまうと、ついつい、次の仕事に目を向けがちですが、不景気な中、失業の状態が長期化する方も増えています。
辞める前には、必ず、失業期間中の過ごし方を考えてからにして頂きたいものです。
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