【2011年 第10回】 相続・贈与のエトセトラ⑩ ~エンディングの準備~
平川すみこ(ヒラカワ スミコ) ⇒プロフィール
このコラムでは、相続と贈与に関して知っておきたい話題をあれこれお伝えします。
人生の最期という意味でエンディングという言葉が使われるようになりましたが、今回のテーマはエンディングの準備。つまり、「死への準備」についてです。
今年9月13日に、マイアドバイザー登録者の森恵子さん(福岡県)が急逝されました。私の大切な友人でありFPの大先輩で一番の相談相手でもあった森恵子さん。彼女が永遠に旅立ってしまったことへの多大なショックと深い悲しみから、しばらく落ち込んでしまって立ち直れず、コラムを書こうと思っても原稿に向かって筆も取れない日々が続きました。
「人間はいつ死ぬかわかりませんからね」
相続のセミナーで、いつも自分が口にしていたフレーズ。まさにそのとおりのことが、自分の身近で起こってしまって、突然の死がこんなにも辛いことを身をもって感じることとなりました。
■エンディングノートの活用
人間はいつかは死んでしまいます。ただ、その死はいつ訪れるのかわかりません。加齢や身体的状況からもうそろそろだと覚悟を持って迎えることもあれば、突発的に迎えることになってしまうこともあるでしょう。
どちらにしても辛いことではありますが、突発的な場合は、ご本人にとっての不本意さはさることながら、周囲にとっては何をどうしていいかわからない状況に陥ってしまうということになります。
誰に連絡を取ればいいのか。 仕事やお金のことはどうなっているのか? 葬儀はどうしたかったのだろう? etc. etc.
遺族は悲しみにくれつつも、迷いながらも慣れない対応に追われ、疲れ果ててしまう・・・そんな状況にならないように、自分にもしものことがあった場合の準備をしておく。それが家族への一番の思いやりとなります。
でも、何をどのように準備すればいいのか。どのように残しておいたり伝えればいいのか。わかりませんよね。
そこで活用したいのが「エンディングノート」です!
「エンディングノート」は自分の人生のエンディングにあたって、
① 生い立ちや経歴、親族関係、趣味や交友関係といった自分自身の歴史や思い出等
② 万が一の場合の、保有銀行口座や金融商品、生命保険等の加入状況等の一覧
③ 万が一のときの希望として、臓器提供や延命措置、後見人についてや介護施設、葬儀・埋葬方法・お墓等の希望
④ 相続にあたっての、財産目録・財産の処分方法や分割等の希望
といった内容を書き記しておくものです。(法的な効力はありません)
■準備は元気なうちから!
エンディングノートはいつ書き始めればいいでしょう。
それは、今すぐです!
年齢的に若い方でも、まだまだ健康で長生きするぞという方でも。
書いたほうがいいのかな、と迷っている方はなおさら、今すぐに。
なぜなら、エンディングノートはボリュームがあって、思い出したり、資料を確認しながら、そして希望を考えながら書いていくため、書きあげるのに時間がかかります。
もちろん、全部書く必要はないのですが、最低限を書くだけでも思っている以上に時間がかかるでしょう。
比較的、時間がある方であれば、のんびりとページを埋めていくというのもいいかもしれませんが、だんだん書くのが面倒になってきて、途中でしばらくホッタラカシ、結局書かないままで、ということもあるでしょう。
このコラムを読んで、私も書こうかな、とやる気になっている今、すぐに書き始めてある程度の項目は書いてしまうことをお勧めします。早速、エンディングノートを準備しましょう。
■エンディングノートの書き方は?
エンディングノートは書店等で市販されていますが、大きさや厚み、記入欄といったフォームもデザインもさまざまです。ご自身で手にとって、書きやすそうなものを選びましょう。
また、記入項目を参考にして、パソコンでオリジナルのノートを作成されるのもいいでしょう。
記入する内容については、市販のエンディングノートは説明書がついていることが多いですし、マイアドバイザーの高原育代氏のコラム(2010年度)もありますので、ぜひ参考にしてみてください。
以上、1年間にわたって(途中2回お休みをいただきましたが)の相続と贈与についてのコラムも今回で終了です。でも、相続は今後も税制改正や民法改正等について目が離せません。また機会がありましたら、コラム等で情報をお届けできればと思っております。
1年間のご愛読ありがとうございました。
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