運用商品の中身 その4(投資信託と個別株や債券投資の違い)【2011年 第21回】

【2011年 第21回 】運用商品の中身 その4(投資信託と個別株や債券投資の違い) 相談コラム

恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒ プロフィール

相談内容

    • 相談者 Iさん(36歳) 女性/既婚 

    投資信託の分配金に魅力を感じていますが、元本が保証されないところが不安です。
    個別の株や債券に投資をするよりもリスクが少ないということは聞きますが、なにがどうしてリスクが少ないのか、あまりよく理解できません。
    投資信託の仕組みについて教えて下さい。

    回答

    資産運用の中で使われる「リスク」という言葉は、単に「危険」という意味ではなく、投資した商品の価額が上がる、価額が下がる値幅のことを言います。値幅の大きい商品を「ハイリスク・ハイリターン」の商品、値幅の小さい商品を「ローリスク・ローリターン」の商品と言います。

     投資信託には、3つの特徴があります。
    1.少額から投資を始められる。
    2.分散投資ができる。
    3.プロの担当者(ファンド・マネジャー)が運用する。

    では、1つ目の特徴から順番に説明をしていきます。

    投資信託は多くの投資家から投資資金を集めるため、一人ひとりの投資家は、少額から投資信託の運用が始められます。金融機関によって、金額に違いはありますが、1万円から投資信託を始めることも可能です。

    一般的に、個別株の投資にはある程度まとまった資金が必要になります。
    個別株を購入する場合は、購入できる単位が発行している会社により異なります。

    仮に購入したい会社の株価が2,000円として、その会社の購入単位が100株だとしますと、
    2,000円×100株=200,000円+手数料 が購入に必要な最小の資金になります。
    そして、購入できる会社数は1社です。

    2つ目の特徴「分散投資ができる」の説明に移ります。

    ここが投資信託の最も重要な特徴になります。分散投資の方法は大きく5つあります。
    A.銘柄分散・・・複数の会社へ分散して投資する。
    B.資産分散・・・株式や債券など資産を分散して投資する。
    C.地域分散・・・世界のいろいろな国々へ分散して投資する。
    D.通貨分散・・・米ドル、ユーロ、豪ドルなど複数の通貨に分散して投資する。
    E.時間分散・・・購入するタイミングを分散させる。

    国内で運用する投資信託を購入した場合は、「A.銘柄分散」「B.資産分散」という2つの分散効果が期待できます。海外の株や債券で運用する投資信託を購入した場合は、上記2つの分散効果以外に、「C.地域分散」、「D.通貨分散」の分散効果が期待できます。

    では、分散効果について詳しく見て行きましょう。

    「A.銘柄分散」から説明を始めます。
    例えば、日本企業でも円高で利益の出る企業と円安で利益の出る企業があります。為替動くタイミングは、専門家でもなかなか予想ができません。ですから、円高に強い企業と円安に強い企業に分散投資することで為替変動の影響を小さくすることが期待できます。

    景気には好不況のサイクルがあります。サイクルにも大きなもの、小さなものがあります。景気のサイクルの局面によって値上がる資産が異なります。景気が不況から回復に転ずる局面では、株式の値上がりが期待できます。好況から景気減速に転ずる局面では、債券の値上がりが期待できます。 

    しかし、景気サイクルの局面の判断は、専門家でも意見が分かれる難しいものです。そこで、景気変動の影響を小さくするために、株式と債券に「B.資産分散」をする投資信託もあります。

    次に「C.地域分散」、「D.通貨分散」を説明していきます。

    最近は、グローバル化が進み、世界中が同じように好況になったり、不況になったりしています。しかし、よく見ると、地域毎に好不況のタイミングがずれていたり、好不況の波の大きさが異なったりしています。「地域分散」することで、タイミングのずれや波の大きさの違いをカバーし、安定した運用を期待できます。また、「通貨分散」することで個々の地域の好不況など起こる為替変動のリスクを小さくすることが期待できます。

    では、分散投資の説明の最後に、「E.時間分散」の説明をいたします。

    時間分散とは、投資信託を何回かに分けて購入する分散方法になります。A~Dまでの分散方法は、投資信託を購入することでできますが、時間分散だけは、購入者のIさんが景気や基準か価額の動きをみながら検討する必要が分散方法になります。目的は、平均の購入単価を下げることにあります。

    3つ目の「プロが運用する」効果は、個別の株投資と違い売り買いのタイミングを自分で考える必要がなくなることがあります。しかし、個人では購入しづらい地域、個人では情報を取りづらい地域の株式や債券に投資することができるようになることもプロが運用する効果だと思います。

    以上、投資信託の3つの特徴を説明させていただきました。投資信託は、分散投資によりリスクの低減を図っていることをご理解いただけましたでしょうか。

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