【2011年 第2回 】長期化しそうなエジプトの反政府活動
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頻発する反政府デモ
チュニジアでの革命、ヨルダンでの反政府デモ、そしてエジプトでの反政府デモなど、北アフリカおよび中東に位置するアラブ諸国では政治的衝突が相次ぎ、その結末と、その他のアラブ諸国への感染拡大があるかどうかに注目が集まっています。
先月末にエジプトで発生したムバラク大統領の退陣を求めた大規模デモは、衝突によって多数の死傷者を出す事態に発展しました。
エジプト政府は、携帯やネットの回線を切断し、全国に夜間禁止令を出すなどして対応にあたりました。
落ち着きつつあるマーケット
1/28日の米国株式市場では、ここ半年の間で最大となる下落幅を記録しする一方で、NY原油先物は4.4%上昇し、1バレル89.43ドルと90ドルに接近します。北海ブレンド先物は2008年以来ではじめてとなる1バレル100ドルを突破しました。
チュニジアではベンアリ政権崩壊という結末を迎えましたが、エジプトでは現在もムバラク大統領の退任を求める反対派の抗議活動は継続中です。反政府デモ発 生から2週間が経過し、エジプトにとって30年で最大の政治的危機は、今のところ和らぎつつあるようですが、ポストムバラクをめぐって様々な憶測が飛び交 い、事態が長期化することが予想されています。
株式市場は今も閉鎖されたままですが、為替市場は2/7より再開され、エジプトポンドは対ドルで6年ぶりの安値となる1ドル=5.9519ポンドをつけま した。また同国10年債利回りは過去最高の7.2%まで上昇したものの6.21%まで低下し、2/8日現在の原油価格は3営業日連続で下落するなど、少し ずつですがマーケットも落ち着きを取り戻しているようです。
心配される原油価格の動向
エジプトは、原油産出量はそれほどの規模ではありませんが、紅海と地中海を結ぶスエズ運河と200マイルにおよぶパイプラインが位置しており、中東のオイ ルにとって重要なゲートウェイの機能を果たしています。FT誌によれば、もしもスエズ運河が閉鎖されれば、タンカーはアフリカ南端を経由し6000マイル 遠回りする必要があるとのこと。
また政治的な抗議行動が、例えばサウジアラビアのような、よりグローバルなオイルマーケットにとって重要な中東諸国に拡大する可能性が心配されます。中東は約2/3の既知の石油埋蔵量とほぼ半分の天然ガスを占め、この地域の地政学的リスクは原油価格変動の要因となり、世界経済に深刻な影響を与えることに繋がるからです。
幸いな事に、こうした混乱にも関わらず、スエズ運河は一日に45から50隻の船が通過し、普段どおり機能しているようです。
ただ2/4には、エジプトとイ スラエル・ヨルダンを結ぶ天然ガスパイプラインが攻撃され、エジプト当局者がイスラエル・ヨルダン向けのガス供給を停止するという出来事があり、2/9に は、スエズ運河の作業員がストを開始する可能性があるとの速報も流れています。
まだまだ楽観できる状況とはいえないようですので、エジプト関連のニュースには注意しておいた方が良さそうです。
参考
FT:
ロイター:
http://www.reuters.com/article/2011/01/30/us-egypt-canal-idUSTRE70T1MC20110130
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