金銭教育の必要性【2012年 第1回】

【2012年 第1回】金銭教育の必要性- お受験ママのこどものためのマネー講座

樗木 裕伸⇒プロフィール

 

こどもの金銭教育ってどうされてます?数十億円稼いでもそれ以上に使ったらお金は足りなくなりますよね。上手なお金の付き合い方をわが子にどう伝えていきましょう。

 

時代が変わってきている!

「時代が変わってきている!」という意見に反対する人は、ほとんどいません。でも、「それは問題だ!」というと時代は常に変わり続けるものだから当然だ、という人もいるでしょう。
でも、FP(ファイナンシャル・プランナー)というお仕事を通じて、さまざまな方のライフプランニング(人生設計っていうとちょっと堅いですかね)に触れる機会を数多く持つと、75歳以上、60歳以上のおじいちゃん・おばあちゃん世代や両親の世代と30代、40代の自分たちの世代とでは、あきらかに様相が変わってきているというのが、実感なのです。
さらに子供たちの時代は、もっと変わるように思います。

いま世の中で、どのような変化がとりあげられているでしょう。
・少子・高齢化
・日本経済の低成長・停滞
・グローバル化
・アジア等の経済発展
・資源の受給逼迫
・環境問題
・食糧問題
・・・・・・

挙げれば、キリがありません。要因はいろいろあるのでしょうが、大きな要因は、日本経済が「作れば、売れた(儲かった)」時代から「作っても売れない(儲からない)」時代になったからでしょう。
ですからみなさんも子供たちが将来「稼げない」ことがないように危機感をもって教育に力を入れてらっしゃいますよね。
では、どのぐらい儲からない時代になったのでしょう。もちろん正確にはわかりませんが、生涯収入と生涯支出を統計データをもとに集計してみると下図のようになりました。

なんと、生涯収入から生涯支出を差し引くと約1億円もマイナスです。あくまで統計上の話ですので、そのまますべての方に当てはまるわけではありませんが、漫然とお金を使っていくと足りなくなることは、間違いなさそうです。
それでも重要度の高低に応じて優先順位を上げ下げすれば、とりあえず自分がやりたいことだけはなんとかなりそうな気もするのですが、優先順位の高いものすべてを人生において真っ先にできるわけではないですよね。
ですので、ライフプランニング(人生設計)を立てて、優先順位と支出タイミングの時間的ズレを調整してあげることが重要になります。
そのためには、将来に生きる子供たちに、金銭教育をしっかりと行い、お金の使い方やお金との付き合い方を身に着けてもらう必要があるわけです。

金銭の教育環境は?

一般に、こどもが誰から学ぶかというと、「親」、「学校」、「ともだち」でしょう。そして成長とともに、親から離れ、交友関係や社会の価値観などの比重が大きくなってきます。
では、「お金」についてはどうでしょう。「お金は大切に使おう」とか「節約が大事」という教育を受ける反面、「何かというと、すぐお金の話ばかりして!」とたしなめられたりしたものです。日本社会では、「お金」は汚いもの、「勤勉さ」が美徳といった風潮があり、親からも学校においても真正面からお金について教わったことがない方がほとんどだと思います。
現在、学校教育において金銭教育に関してようやく取り組まれ始めましたが、継続的なカリキュラムではないため、十分とは言えません。また、一時的に良い話を聞いたとしても、家に帰ると自分の親が違うことをやっていたのでは、こどもは混乱してしまいます。ですから家庭での金銭教育が、時期的にも時間量的にも重要な役割を担います。

でも大人のわれわれも金銭教育を受けてきていません。こどもに何を伝えればよいか、いつ、どのように伝えればよいか、を学ぶ前に、われわれ自身がまず学んで実践できるようにしていかなければ上手くいかないでしょう。
小学校・中学受験では、こどもと接している時間が父親よりも長いお母さんの役割が重要ですよね。金銭教育も同じことが言えるでしょう。まずは、お母さんにお金の基本をしっかりわかってもらい、考えてもらいたいと思います。
こどもの将来の幸せのために、収入を確保するための教育である受験勉強とともに、お金を守り、有効活用するための教育である金銭教育の必要性を知っていただきたいと思います。

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