子育て世帯の住宅資金計画【2014年 第5回】

2014年 第5回 子育て世帯の住宅資金計画– 住宅資金・FP相談の現場から

山下 修一(ヤマシタ シュウイチ)プロフィール

住宅取得で最も多い年代といえば30代、次に40代です。中でも30代は結婚・子育てとライフイベントがメジロ押しです。 人生の三大資金と言えば、いわずもがな住宅資金・教育資金・老後資金と言われています。 そして子育て世帯となると二大資金を並行してやり繰りしながら人生を過ごすことになります。 そこでの見極めと支出のバランスを誤ってしまうと、どちらも行き詰ってしまう可能性も孕んでいます。今回は「子育て世帯」または「子育て予定世帯」向けに住宅資金計画を立てる上での重要なポイントをお伝えしたいと思います。

二大資金がオーバーラップ

住宅を購入すれば一般的には住宅ローンを組んで返済を開始します。返済期間は20年~35年で組むことが多いですから、ほとんどの場合は住宅ローン返済と教育費の支出がオーバーラップします。

教育費は進路や教育方針によって、かなりの幅があること、支払う時期がだいたい決まっていることが特徴と言えます。

だからこそ教育費がいつからどれぐらいかかるのか、あらかじめ把握しておくことが必須であり、適正な住宅資金計画を立てる上でのカギになるでしょう。

教育費には幅がある

たとえば、幼稚園が私立、小学校と中学校が公立、高校が私学、大学が私立理系に進んだ場合は1人当たり総額で1500万円前後が必要と一般的に言われています。

今回は上記の教育進路でお話ししますと、中学2年生までは大きな支出がやってこないため、今の収入水準の延長でなんとか賄えるのかもしれません。

ところが中学3年生から高校受験を迎えますので、収入だけで賄うのが厳しく、時おり貯蓄を取り崩さないといけない状況が到来する可能性が出てきます。

そこで別途手当が必要になるわけですから、住宅ローン返済にも影響を及ぼしてしまうことが十分考えられます。

また、最近の動向を見ていると理系人気が根強いようです。ただし理系から就職するために大学4年間と大学院(2年間)を経てからのほうが有利と言われていることから、大学の生活費・教育費は4年+2年=6年で見ておくほうが現実的かもしれません。

教育費のイメージを図に表してみます

 <図1>

子育て世帯こそライフプラン検証が必要

教育費と人生資金を「具体的に目に見える化でオーバーラップ」して見ていきましょう。

一般的でなく『ご自身のケースでの確認』が大事です。

【1】  世帯収入イメージ

⇒[チェックポイント]収入カーブ・役職定年出向・退職金・再雇用

【2】  世帯支出イメージ

⇒[チェックポイント]成長に合わせた食費・モノ・通信費の増加

【3】  住宅費(住宅ローン+維持費)イメージ

⇒[チェックポイント]金利変動の可能性・建物維持費の確保

【4】  教育費イメージ

⇒[チェックポイント]大学は地元進学か否か、医療系の場合は特別に考慮

それぞれ上記を描いてみます。

さらにそれらを組み合わせてみると・・・・どう見えるでしょうか?

たとえばこんな感じです。

 

 <図2>

特に【3】住宅費(住宅ローン+維持費)イメージ と【4】について今後30~40年間での位置づけがどうなっているか?

一番の関心を持って見てください。将来のわが家の財政事情が容易に想像できると思います。

教育費を負担しながら住宅費の負担にとても耐えられない。

つまり「まったく噛み合わない」ようであれば、住宅資金計画で価格帯見直し・別途資金調達・購入延期・白紙などを検討しないと行けないかもしれません。

もし微妙であればぜひ「ライフプラン」を立てて詳細な金額に落とし込んで考察や調整をしてみましょう。

購入時期に応じて金利・頭金・諸費用をいろいろ変えて探ってみてください。

ライフプランでは客観的な考察が重要です。専門家に作成してもらってアドバイスを受けることも検討してみましょう。

住宅は人生で一番大きな買い物です。目の前の欲求が先行する余り、後で「人生資金と釣り合わない物を買ってしまった・・・」という思いだけ避けたいものです。

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