2014年 第2回 「買い時・売り時のタイミングは?」-会社四季報チェックポイント
長谷 剛史(ハセ タケシ)⇒プロフィール
株式投資の王道は、会社四季報に掲載されている項目を理解し活用することです。第1回は配当に着目し「配当利回り」・「配当性向」を取り上げましたが、第2回は買い時・売り時のタイミングがわかる「PER」・「PBR」についてみていくことにしましょう。
PERとは?
PERとは、企業の利益に対し株価が割高なのか割安なのかを判断する指標になり、株価÷1株益で計算します。わかりやすい卵屋さんの事業例でみてみましょう。皆さんが卵屋さんを始めるとき、まずはニワトリが必要になりますが、下記AのニワトリとBのニワトリどちらを購入しますか?
Aのニワトリ:値段1,000円・年間100円の卵を産む(株価1,000円、1株益100円)
Bのニワトリ:値段 500円・年間20円の卵を産む(株価500円、1株益20円)
株式投資はビジネスという側面もありますので、投資額を何年で回収できるかという視点が大切です。
Aのニワトリの回収期間は、1,000円÷100円=10年 (PER=10倍)
Bのニワトリの回収期間は、 500円÷ 20円=25年 (PER=25倍)
Aのニワトリの方が早く投資額を回収することができます。つまり、PERは「回収期間」を意味し、短い(低い)方が良いという判断になります。
PBRとは?
PBRとは、企業の資産に対し株価が割高なのか割安なのかを判断する指標になり、株価÷1株純資産で計算します。わかりやすく福袋の例でみてみましょう。例えば、2,000円の商品が入っている福袋が売られていたとして、皆さんはAの福袋とBの福袋どちらを購入しますか?
Aの福袋:値段1,000円・商品2,000円(株価1,000円、1株純資産2,000円)
Bの福袋:値段3,000円・商品2,000円(株価3,000円、1株純資産2,000円)
株式投資は企業が保有する財産へ投資をするという側面もありますので、財産価値(純資産)に比べて株価が割安な銘柄を見つけることが大切です。
Aの福袋:1,000円÷2,000円=0.5倍 (PBR=0.5倍)
Bの福袋:3,000円÷2,000円=1.5倍 (PBR=1.5倍)
PBRは「お買い得」かどうかを意味しており、倍率は低いほうが割安で1倍未満ならお買い得という判断ができます。
PER・PBRの活かし方
① 市場平均との比較
日経平均採用銘柄の現在のPER・PBRの平均を日経新聞で確認すると、PERは15倍・PBRは1.29倍になります(H26.7.28現在)。この平均値を上回っている銘柄は割高、下回っている銘柄は割安と判断することができます。
② 同業他社との比較
異業種での比較をするのではなく、同業他社との比較をするほうが両指標は活かせます。会社四季報には計算をしなくてもPER・PBRが掲載されていますので、例えば最新の四季報で自動車業界を確認してみましょう。
まずPERはトヨタ自動車9.8倍・日産自動車9.5倍・ホンダ10.5倍、続いてPBRはトヨタ自動車1.23倍・日産自動車0.89倍・ホンダ1.09倍です。3社の中ではPER・PBRとも最も低い日産自動車が投資対象として割安=魅力的という判断をすることができます。
③ 過去の指標との比較
現在の数値が過去に比べて高いのか低いのかを確認することも大切です。会社四季報には、過去の実績PERという欄があり、例えば、日産自動車の場合、高値平均12.4倍、安値平均8.1倍になっており、現在の9.5倍は安値平均に近い数字というのがわかり割安という判断をすることができます。
まとめ
「PER」・「PBR」をチェックすることにより、現在の株価が割高なのか割安なのかが判断でき、割安のときに買って割高のときに売るという戦略を立てることができます。つまり、買い時・売り時のタイミングがわかりますので、必ず確認するようにしましょう。高値掴みしない、買い時・売り時のタイミングを間違えないように、しっかり会社四季報で確認しましょう。
次回は「本業の利益の重要性」というタイトルで、売上高営業利益率・営業利益という指標を取り上げますので楽しみにお待ちくださいね。
*上記は個別銘柄を推奨するものではなく、わかりやすく解説するため掲載したに過ぎませんのでご注意ください。
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