格安な土地を買ったら、家が建てられなかった? – 大学生のためのパーソナル・ファイナンス 【2012年 第9回】

【2012年 第9回】格安な土地を買ったら、家が建てられなかった? – 大学生のためのパーソナル・ファイナンス

横川 由理(ヨコカワ ユリ)⇒プロフィール

今は親元に一緒に住んでいたり、アパート暮らしの人がほとんどだと思います。もし、将来買った土地に家を建てることができなかったら、どうしましょう?

好き勝手に家は建てられない

「そんなバカな?」 とお思いになるかも知れません。
実は、自分の土地であっても、好き勝手に家は建てられないというルールがあるのです。

そもそも家を建ててはいけない土地を「市街化調整区域」といいます。一方、家を建ててよいのは「市街化区域」。市街化していきたい区域という意味です。

たとえ、現在、その土地に家が建っていたとしても、格安物件に「市街化調整区域」とあったら要注意。
もしかしたら、無許可で立ててしまったケースもあり得ます。
そう、不動産の知識は縁遠いものですが、金額が大きいだけに間違ってそんな土地を買ってしまったら大変。取り返しがつかないことになってしまいます。

一方、「市街化区域」の中であっても、自由に好きな家が建てられるわけではありません。
家は狭いよりも、広々としている方が暮らしやすいことでしょう。
では、土地の面積ギリギリまで、大きな家を建ててもよいでしょうか。

残念ながら、建てられないケースがほとんどです。
建ぺい率といって、その土地に対して、どのくらいの大きさの建物を建てられるのかが、あらかじめ定められています。

たとえが、100㎡の土地を持っていたとしましょう。
建ぺい率が40%だったら? そう、広い家に住みたくとも40㎡の建物しか建てることができません。

建ぺい率は、その土地に応じて異なっています。
いわゆる住宅街では、土地に対して、大きな建物は建てられないしくみとなっているのです。
となり同志の家が、くっついているとトラブルになったり、風通しが悪く不衛生になることもあるでしょう。
何よりも、火事が起こるとすぐに燃え広がってしまいます。
そんなことから、土地には様々なルールが設けられているのです。

不動産を購入するときには、「駅から徒歩どのくらいなのか」や建売りであれば「間取りはどうか」ということについ、目が行きがちです。

しかし、「本当に家を建てることができる土地なのか、建てられるとしたらどのくらいの大きさの家が建てられるのか」
こんなことも、確認する必要があるのです。

購入前には勉強が必要

格安物件だからといって、飛びついてはいけません。
とはいうものの、不動産を購入するという経験を積むということは、そう多くはないはず。
一生に1回、2回あれば多い方なのではないでしょうか。初めてのことはわからないことがたくさんあります。

保険や株式などの金融商品と同じように、購入前には勉強が必要になるのです。第6回で住宅ローンの組み方をご説明しました。
不動産そのものの勉強のほかに、ローンの知識も大切です。
なぜなら、どんなローンを組むかによって、大きく利息が変わってくるからです。

家を買う、買わないは個人のライフプラン。しかし、金額が大きいため生活を圧迫することも考えられるのです。

中国では日本以上の持ち家志向が高いのですが、何年か前に「房奴(ファンヌー)」というトレンディドラマがヒットしました。
房は家、奴は奴隷。つまり、住宅の奴隷という意味で、高額な住宅ローンの返済に苦しめられている若者を指しています。

給料のほとんどローンの返済に回ってしまい、健康に問題が生じてしまうケースもあると聞きました。

中国の男性は、家を持っていないとお嫁さんが来てくれません。そう、家を持っていないと結婚すらできないのです。
それに比べて、日本では「若いうちは貧しくとも」という風潮がありますから、家がなくとも結婚できて幸せです。
とはいえ、家選びは慎重に!

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