ブラジリアン柔術家 澤田真琴選手 前編【2012年 第9回】

【2012年 第9回】ブラジリアン柔術家 澤田真琴選手 前編
ライフプラン別コラム – プロ格闘家のためのファイナンシャル・プランニング

平野 厚雄(ヒラノ アツオ)⇒プロフィール

4人目のプロ格闘家として登場していただくのは、ブラジリアン柔術家の澤田真琴選手です。
澤田選手は、柔術界では最高位の黒帯をお持ちです。2008年ヨーロピアン選手権ではアダルト茶帯プルーマ級で優勝されるなど数々の実績を持ちで、日本柔術界の屈指の実力者のおひとりです。

セカンドキャリア(道場経営)でのリスク・会員さんの安全管理

澤田選手は、2012年5月に川越駅に柔術道場・臥竜窟(DRAGON’S DEN)http://www.dragonsden.jp/をオープンされました。格闘技選手のライフプランや引退後のセカンドキャリアを考える場合、道場経営というのは有力な選択肢の一つになります。そこで、今回は、道場経営について考察したいと思います。道場経営には、物件選びや立地、賃料等の諸条件の交渉、建物の構造、集客方法等、たくさんの重要ポイントがあると考えられますが、その中でも、今回は会員さんの安全管理について考察してみたいと思います。柔術は、安全性の高い格闘技とはいえ野球やサッカーと同様に、怪我をしてしまうリスクが常にあることを認識しておかなくてはなりません。

では、実際に会員さんが、クラス中に怪我をしてしまった場合、道場主はどうなってしまうのでしょうか?全責任を問われ、その会員さんの医療費を負担しなくてはならないのでしょうか?・・・そんなことはありません。絶対に医療費を負担しなくてはいけないということもありません。原則、会員さんの自己責任ということになります。

公益財団法人・スポーツ安全協会のスポーツ安全保険

しかし、そうは言っても、道場主として大切な会員さんに何もしない…というものいかがなものかなと思います。そのような場合は、公益財団法人・スポーツ安全協会のスポーツ安全保険があります(http://www.sportsanzen.org/)。ほとんどの柔術道場が加入しているかと思いますが、スポーツ安全保険は、公益財団法人スポーツ安全協会が契約者となり、加入手続を行った5名以上のアマチュアの社会教育関係団体の構成員を被保険者(補償の対象となる方)として、東京海上日動火災保険(株)を幹事会社とする損害保険会社(9社)との間に、「傷害保険」および「賠償責任保険」を一括契約した補償制度です。

そして、スポーツ安全保険では、以下の事故が補償されます。

① 傷害保険
急激で偶然な外来の事故により被った傷害による死亡、後遺障害、入院、手術、通院を補償(熱中症および細菌性・ウイルス性食中毒も対象となります)。
② 賠償責任保険
他人にケガをさせたり、他人の物を壊したことにより、法律上の損害賠償責任を負うことによって被った損害を補償。
③ 突然死葬祭費用保険
突然死(急性心不全、脳内出血などによる死亡)に際し、親族が負担した総裁費用を補償。

例えば、柔術道場の一般的な加入区分(高校生以上「C」)の場合は、1人あたり年間¥1,850の保険料で以下の補償になります。

柔術道場で一番多い事例は、会員さんがスパーリング等で怪我してしまうことだと思います。その場合、会員さんが病院に行って治療すると、1日あたり定額の¥1,500が支払われるということです。

このスポーツ安全保険は義務ではありませんが、年間の保険料を考えれば、それなりの大きな保障だと思います。道場主としては、何かあった後で知らなかった…という事態だけは避けなければなりません。そして、会員さんの安全管理という観点からこのスポーツ安全保険は、最低限加入しておくべきでしょう 。

では、スポーツ安全保険に加入すれば安心でしょうか?

次回は、もう少し深くこの安全管理について考察してみたいと思います。

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