子育て世代の生命保険入門【2012年 第11回】

【2012年 第11回】 子育て世代の生命保険入門
ライフプラン別コラム – 子育て世代の生命保険入門

平野 雅章(ヒラノ マサアキ)⇒プロフィール

 

 

学資保険の得する選び方
子育て世代に多い相談内容の一つは、学資保険の加入に関するものです。金額を抑えて加入するのであれば、現時点では比較的貯蓄性の高い商品として、学資保険で教育資金を貯めるのは選択肢の一つだと前回の記事(※1.本文末リンク参照)で書きました。そこで今回は、どのように商品を選んだら良いのかを考えてみましょう。

 

 

最初に加入目的を明確にする

学資保険選びで最初にすべきことは、加入の目的を明確にすることです。
学資保険の内容は主に1.学資の貯蓄、2.親の死亡保障、3.子の死亡・医療保障、の3つに整理できます。2や3の保障が充実している商品は貯蓄性が低くなるのが一般的で、1の目的に合うとは言えません。従って、2や3の保障が必要かどうかを、まず検討しましょう。

2の親の死亡保障を見ると、ほとんどの学資保険では、契約者が亡くなったときにそれ以降の保険料の払い込みが免除され、一方、学資金は契約通り受け取れるという保障がついています。さらに、一部の商品では育英年金や一時金を受け取れる商品もありますが、こうした保障があると貯蓄性は低下します。

親の死亡保障であれば、他に加入している全ての生命保険の死亡保障額を確認し、必要な死亡保障額と比較して追加で死亡保障を確保する必要があるかを確認しましょう(必要な死亡保障額の計算方法は第3回の記事を参照)。死亡保障の追加が必要な場合でも、学資保険で死亡保障を確保するのではなく、収入保障保険(詳しくは第5回の記事を参照)など単品の死亡保障の保険に加入した方が保険料は割安な場合も多いため、併せて検討するとよいでしょう。

3の子の死亡・医療保障を見ると、学資保険では、被保険者である子どもが亡くなったとき、払い込み済みの保険料相当額が戻ってくるという商品が一般的です。さらに、子どもが入院したときなどの医療保障が付加された商品もありますが、医療保障があると貯蓄性は低下します。
子どもの医療費は、市区町村の助成制度により、入院は中学校卒業まで、通院は小学校入学前まで保険診療の自己負担額が無料となるところも多いです。入院・通院とも中学校卒業まで助成する市区町村もあります。住んでいる地域の助成制度を確認した上で、子の医療保障の必要性を判断しましょう。

貯蓄性は返戻率で比較する

2と3の保障の必要性が低い、あるいは他の保険で必要な保障は確保すると判断すれば、学資保険の加入目的は学資の貯蓄に絞り込むことができます。この場合、保障が充実したパッケージ商品は避けて、学資金の受け取りと契約者死亡時の保険料払い込み免除だけのシンプルな商品を選ぶべきでしょう。

次に学資保険の貯蓄性を比較する方法です。貯蓄性は返戻率を比較するとわかりやすいでしょう。返戻率とは、受け取れる学資金の総額を払い込む保険料の総額で割った比率です。例えば、0歳の子を被保険者とし、子の18歳時に200万円を学資金として受け取れるという内容で学資保険に加入、月の保険料が8,320円の場合、受け取れる学資金の総額200万円を18年間で払い込む保険料の総額1,797,120円で割った比率である111.2%が返戻率になります。返戻率が高いほど貯蓄性も高いということになり、同条件であれば返戻率の高い商品を選ぶのが原則です。

保険料の払込期間の長さと学資金の受け取りタイミングは返戻率に影響を与えるため、比較する時はこれらの条件をできる限り揃えて比較するようにしましょう。

学資金の受け取りタイミングもポイント

学資金の受け取りタイミングは、子の高校3年時、つまり大学入学時に一括で受け取るというタイプが基本となりますが、他に高校・大学入学時に一時金が受け取れるタイプ、中学・高校・大学入学時の計3回一時金が受け取れるタイプなどもあります。

大学入学時に一括で受け取るタイプの学資保険に加入していて、子が私立中学に入学することになり手元のお金が充分でないために学資保険を解約すると、加入期間によっては解約返戻金が払込保険料より少なくなることもあります。返戻率だけで判断するのではなく、子の進路を想定し、学資金の受け取りタイミングが合う商品を選ぶことも大切です。

そもそも、学資保険だけで学資を貯めようとせず、定期預金など途中解約しても元本を割ることのない商品と併せて学資対策を行えば、想定した進路を変更する場合でも対応しやすくなりますので、この点を最後に強調しておきたいと思います。

学資保険の加入目的が主に学資の貯蓄の場合、学資保険と名のついた商品にこだわらなくても、貯蓄性のある保険であれば学資保険の代わりに利用することも可能です。次回の記事ではその方法とメリット・デメリットについて解説します。

※1. 2012年 第10回 学資保険の本当のメリット・デメリット

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