出そろった平成24年度の住宅施策について【2012年 第4回】

【2012年 第4回】 出そろった平成24年度の住宅施策について
– ケース別コラム – 住宅ローン

奥田 知典(オクダ トモノリ)⇒ プロフィール

 

住宅建築は、景気向上のけん引役。増税ニッポンまっしぐらですが、唯一と言ってよいほど、住宅施策は優遇策が揃っています。今回は、平成24年度の主な住宅施策についておさらいしておきましょう。

今年は各地で例年以上に、長く桜を楽しめたようですが、皆様はいかがでしたか?私は、岡山県岡山市に住んでいるのですが、後楽園のふもとで開催される『おかやま桜カーニバル』に、天気の良い日はほぼ毎日出かけるという荒業(笑)でした。

日本経済も、この桜並木のように、明るく華やかな話題に包まれるといいんですけどね・・・。ということで、今回はその日本経済を支える、住宅施策についてのお話です。

いまや増税、社会保険料負担増大路線まっしぐらのニッポンですが、その中で唯一といってもいいくらい、優遇策が目白押しなのが住宅施策です。確かに家が1軒建つと、建築、資材、設備、家電、銀行、保険と様々な業界に波及効果が生まれるわけで、個人消費のけん引役として、住宅施策はとても重要ですよね。平成24年度も優遇策が多々ありますので、ぜひこのタイミングで、おさらいをしておきましょう。

■キーワードは、『復興支援』と『エコ』

既に制度がスタートしているものも含め、平成24年度の住宅施策は『復興支援』と『エコ(省エネルギー)』に重点を置いた内容となっています。東北関東大震災からの復興を重要視するのはもちろん、震災後の「脱原発⇒省電力」の流れを受け、とにかく『エコ』な住宅建築を後押しする施策が多いのが、今年度の特徴です。

■再開!住宅エコポイント

平成21年末に導入され、新築・リフォーム需要を掘り起こした「住宅エコポイント」が復活しているのも今年度の大きな特徴です。名前も新たに「復興支援住宅エコポイント」となり、エコ住宅を新築すると、15万ポイントを獲得できます。被災地でのエコ住宅新築は倍の30万ポイントとなります。エコリフォームの場合は、工事内容に応じて2千~10万ポイントが獲得できます(上限30万ポイント)。太陽光発電など太陽熱利用システムを設置する場合は、さらに2万ポイント加算です。

そして、獲得したポイントは従来同様、指定の商品等に交換出来るのですが、今回の制度は獲得ポイントの1/2以上を被災地の物産や商品券と交換することをルール化し、被災地支援の姿勢を鮮明にしています。

対象期間は、新築が平成23年10月21日~平成24年10月31日、リフォームが平成23年11月21日~平成24年10月31日までの着工または工事着手分となっており、ポイント申請は平成24年1月25日より受付開始されています。既に工事が終わり、ポイント申請をされている読者の方もおられるのではないでしょうか。

前回同様、ポイントがもらえるから工事をする、ということではないと思いますが、同じ工事をするのなら、少しでもメリットが多いほうが、嬉しいですよね。対象となる方は、建築会社とよく連携を取り、ポイント申請漏れのないよう注意しましょう。

※ご参考:復興支援住宅エコポイントHP
http://fukko-jutaku.eco-points.jp/

■贈与税非課税枠の拡大

平成22年度より導入され、好評を博している「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」についても、『エコ』住宅についてはより優遇が受けられるように改正されました。

※東日本大震災の被害者は、上記に関わらず、平成26年まで非課税枠は1000万円(省エネ性または耐震性を満たす住宅の場合は1500万円)となります。

このように、エコ住宅についてはより大きな非課税枠が設けられています。私のお客様でも、この非課税枠がきっかけで住宅取得を決断するケースが多くみられました。こちらも活用できるのであれば、ぜひ活用しただきたい制度です。

■住宅ローン減税の延長

こちらは既に平成21年より運用されているものですが、あわせて確認をしておきましょう。

住宅ローン減税とは、金融機関等から期間10年以上の住宅ローンを借入し、住宅を新築・取得または蒼改築をした場合に、居住開始年から一定年数、住宅ローン年末残高の一定割合を所得税から控除する(差し引く)制度のことをいいますが、こちらについても、省エネルギー性を満たす「長期優良住宅」認定を受けた場合にはその控除額が拡大します。

※長期優良住宅は、省エネルギー性以外にも基準項目があります。詳しくは国土交通省HP等でご確認ください。

住宅ローン減税の最大の特徴は、『税額控除』であること。例えば住宅ローンの年末残高1000万円の人が、その年に源泉所得税を10万円既に払っているとしたら、住宅ローン減税制度(1000万円×1%=10万円)により全額戻ってきます。

生命保険料控除のような、課税所得から差し引く『所得控除』に比べ、減税メリットが大きいので、こちらも活用できるものは、活用いただきたいと思います。

■もはや『エコ』視点は外せない?

ここまで主な住宅施策を見てきましたが、既にお気づきの通り、省エネルギー性を満たすエコ住宅に対し、かなりの優遇措置が取られています。大震災、原発事故以降、脱原発の議論はなかなか進みませんが、長い目で見れば、省エネルギーへの取り組みは、避けては通れません。住宅についても、同様です。

今年、来年の間に住宅取得を検討されている方は、ぜひ、『エコ』視点を取り入れて、検討いただきたいと思います。

ただし(ここからはあくまで私見ですが・・・)、各メーカー、建築会社がエコ住宅という名のもと、販売を進めていますが、その性能には大きな差があるので注意が必要です。

何をもってエコ住宅というかは、個人の価値観、人生観が絡んでくる話です。メーカー側が押しつけるエコ住宅の考え方を、そのまま鵜呑みにすることだけはやめましょう。

このテーマについては、別途このコラムででもお話をしたいと思います。ということで、今回はこのあたりで。

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