【2012年 第3回】日本の大移動事情 移動といえば「引越」、最近の引越事情についてもふれてみた
浅川 陽子(アサカワ ヨウコ)⇒プロフィール
3月は進学、就職、人事異動等の理由で、国内で人が動く月と言われている。
また、移動といえば「引越」、最近の引越事情についてもふれてみた。
<平成23年、神奈川県の人口流入が1万人を割る>
転入者から転出者の数を引いたものが人口の「社会増減」と言われているが、神奈川県では、平成9年から22年までこの年間「社会増減」が1万人から4万人の水準にあった。しかし、平成23年では、前年の31,377人から3,259人と、15年ぶりに1万人を割ったことが明らかになった。月ごとの社会増減では、2月に転出者が最も多くなるためマイナスになり、4月は転入者が増えるため1年で社会増減が最も多くなる傾向にある。しかし、ここ3年間の4月の社会増減数をみても、年々減少傾向にあることがわかる。
一方、東京圏の他地域ではどうかというと、総務省の調査から、平成23年3月から5月のまでの転入者超過数をみると、東京と他県も平成22年同時期と比較して転入者の超過数が減っていることがわかる。
昨年の場合は、3月の東日本大震災の影響もあり、企業の人事異動等にも特殊要因が働いたことも考えられる。また、大学進学先で「首都圏志向」から「地元志向」が強まっているともいわれているが、その影響も少なからずあるかもしれない。
<3月は引越シーズン>
3月はまた、人の移動時期とあわせて引越シーズンといわれる。需要の影響もあり、引越にかかる費用も3月はどうしてもかさむようで、3月の最終週末の引越費用は通常の料金よりもかなりはねあがるという。実際に引越業者を選ぶ時、最も気になるのが料金だろう。ただし、単に料金が安いからといって業者を選ぶとトラブルが起きることもあり得る。
まず、引越業者は、国土交通省の許可業者でなければならない。一般的な引越であれば、「一般貨物自動車運送業者」、小規模な引越であれば「貨物軽自動車運送業者」として登録しているかのチェックは最低限必要だ。これ以外の引越業者は違法業者。また、国土交通省が引越トラブルを未然に防ぐため告示している「標準引越運送約款」に基づいて、業務を行っているかもチェックしておこう。
さらに、(社)全日本トラック協会に加入していればより安心だといわれている。
<引越の費用>
引越の費用をきめるポイントは、「国土交通省 東北運輸局HP」によると、
①荷物を運送する距離 ②荷物の量 ③業者に依頼する作業員の数 ④業者による荷づくりが必要か⑤特殊な機械が費用か(クレーンなどの高所作業機械) ⑥引越当日が平日か休日か ⑦現在の家と引越先の階数、エレベータの有無 ⑧オプション作業の有無(ピアノ運送、冷暖房器具の取り外しと取り付け等)になる。
引越費用の見積もりは、「標準引越運送約款」によれば無料である。ただし、引越先への下見などをしてもらう場合は費用を請求される場合がある。
また解約手数料、延期手数料は「標準引越運送約款」では、当日では運送料の20%、前日では運送料の10%、それ以前だと無料である。
国土交通省関東運輸局が引越費用の目安を以下のとおり紹介している。
※移動距離は100km以内
<上手な引越の仕方>
引越といっても、近距離か遠距離か、荷物が少ないか多いかで業者の選び方も違ってくるだろう。近距離や荷物があまり多くない場合では地元の小規模業者でもよいかもしれないが、遠距離の場合や、荷物が多い場合は大手の業者の方が安心かもしれない。業者を選ぶときは、必ず複数の業者に見積もりを取って選定する。最近はまず、ネットの「引越し一括見積もりサイト」を使って、自分の引越の相場を把握しておき、ある程度業者がしぼれてきたら、実際に自宅訪問で見積もりをしてもらうという手順がよいようだ。
また、費用の交渉という点でいえば、できるだけ早いうちに見積もりをしてもらうのもコツである。料金を安くするには、引っ越し日を、土日祝日を避けて平日にする、仏滅の日、また、近距離の引越の場合だと午後便が安くなるということもあるようだ。引越の荷物を減らすために、引越を機会に不用なものを処分することもおすすめだ。
ちなみに我が家の場合、10数年前、社宅から新築の一戸建てに引越をした時は、引越先が同じ県内だったので、引越の前に、数回自分の車で運べるものはなるべく運び、当日の荷物を減らしたり、また、段ボール箱もその2年前に社宅に引越してきた時に使用し取っておいたものを使用したりして、費用をカットした記憶がある。
最近は引越サービスも多様化している。自分のケースでは、どの程度のサービスが必要か見極めることも重要だと言えるだろう。上手に引越を行って新生活をスタートさせよう。
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