分散投資の考え方 ~ポートフォリオについて~【2015年 第2回】

【2015年 第2回 分散投資の考え方 ~ポートフォリオについて~】インフレに備えて 基礎から学ぶ 投資信託

恩田 雅之(オンダ マサユキ)

2015年は、「投資を身近の感じてもらう」をテーマに主に投資信託の仕組みや用語の解説を中心に書き進めていきます。その前準備として第1回は「デフレとインフレについて」みてきました。第2回は、「分散投資の考え方」の中で主にポートフォリオについてみていきます。

 

 

はじめに

分散投資というと株式などで複数の銘柄に分けて投資する銘柄分散。

国内や海外に分けて投資する地域分散やそれに伴う通貨分散などを思い浮かべる方が多いかと思います。リスクを抑えるためには上記のような分散の知識も必要になりますが、その前段階として、利回り異なる金融商品を組み合わせることで、期待するリターンを目指す「ポートフォリオの考え方」について解説していきます。

 

ポートフォリオの考え方

ポートフォリオは、様々な利回りの金融商品を組み合わせて、どのくらいの利回りが期待できるか、みていく方法になります。

日銀は、継続的に毎年2%のインフレになるように金融政策(異次元金融緩和)を行っています。また、米国やEUも緩やかなインフレの数字として2%を目標にしています。

<表1>では、利回りの異なる4つの商品の組み入れ比率を変化させながら、全体の利回りが2%前後になるような、4つのパターンを作成しました。

商品Aの利回りは(0.025%)現在(2015年2月)定期預金の金利に相当します。

商品B は(0.3%)10年国債(0.285% 2015年2月2日)を少し上回る程度の利回りになります。商品C(3.0%)商品D(6.0%)は、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)2014年10月31日以降の想定利回り、外国債券(3.7%)、株式(国内株6.0%、外国株6.4%)の参考に若干低めの利回りを設定しました。

 

ポートフォリオ全体の利回りは、

「(商品Aの利回り×比率)+(商品Bの利回り ×比率)+(商品Cの利回り×比率)+

(商品Dの利回り ×比率)」(小数点以下3桁目 四捨五入) 

の計算式で求めています。

 

<表1>

 

 

 

 

それでは、A~Dそれぞれのポートフォリオについて個々にみていきます。

以下の説明で出てきます「リスク」は元本のブレ幅となります。

一般的に商品A、Bが安全資産、C,Dがリスク資産に分類されます。

ポートフォリオAは、元本割れの無い商品Aの比率を60%高めていますが、全体の利回り(1.98%)を確保するために、この中ではリスクの高い商品Dも30%と高い比率になっています。

ポートフォリオBの全体の利回り(1.98%)は、ポートフォリオAと同じですが、商品Aの比率を5%し落とすことで、リスクの高い商品Dの割合を減らし(25%)、少しリスクの低い商品Cの比率をポートフォリオAに比べて増やしています。(5%→15%)

ポートフォリオCは、ポートフォリオBに比べて安全資産(A,B)の比率を減らし(60%→55%)、リスク資産の比率を増やすことで(40%→45%)、少しリスクの低い商品Cの比率増やしています。(15%→25%)

ポートフォリオDは、安全資産とリスク資産の比率が50%:50%になっています。

それにより、リスクの高い商品Dの比率は、4つのポートフォリオの中で最も低く(15%)なっています。

以上、2%前後の期待リターンを目指す「4つポートフォリオ」の中でも、金融商品の配分比率が大きく異なることがわかります。

 

まとめ

今回は様々な金融資産を組み合わせながら、目標とする期待リターンを目指すための方法として、ポートフォリオの作り方について説明いたしました。

ポートフォリオは、作られる方の年齢やリスクに対する考え方、保有している金融資産の額などにより異なってきますが、計算方法は同じになります。また、現在の日本の預貯金(0.025%)を含めた金融資産全体で2%前後の利回りを確保するには、ある程度の比率でリスク資産を組み入れることが必要になります。

次回取り上げるテーマは、リスク資産の中で、少額から投資ができ、分散効果が期待できる「投資信託」の仕組みや独特な用語についてになります。

 

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