財務諸表を理解しよう!損益計算書編【2015年 第4回】

【2015年 第4回 財務諸表を理解しよう!損益計算書編】 イメージ図で理解すると投資指標って簡単!

伊藤 美恵 ⇒プロフィール

 

 

せっかく参加した株式セミナーで、聞いたことに対して理解出来ないと感じたことはありませんか?その原因のひとつが、実は投資指標なのです。投資指標が理解出来るだけで、難しいと感じるハードルは、ずっと低くなります。では、どうしたら、投資指標を理解出来るのでしょうか?投資指標を理解するためのベースになるもののひとつ、損益計算書について、学んでみましょう。

 

損益計算書とは?

損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)とは、一定期間における企業の利益獲得過程を表したもので、これにより企業の経営成績が分かります。つまり、言い換えれば、企業の家計簿に相当するものとイメージして頂ければと思います。そして、損益計算書は、「収益」・「費用」・「利益」で成り立っています。理解しやすいように、企業の損益計算書とサラリーマン家庭の家計簿を紐づけてみましょう。

収益とは?

まずは、「収益」から見ていきましょう。企業の売上などの外から入ってきたお金は、家庭の家計簿でいうと給与などに相当します。立場が会社か個人かと言うだけで、どちらも稼いだお金です。これを、企業では「収益」と言います。例えば、企業の収益はどんなものが有るかと言うと、本業での売上はもちろん、銀行等の利息や投資などの配当金、そして持っている資産(土地・建物・備品・会社の車・有価証券の評価利益など)を手放した時に、利益として得られる特別に入ってきたお金(特別利益)などを指します。

 

費用とは?

次に、「費用」とはどんなものを言うのでしょうか?私達が生活するにあたって、住宅費や光熱費、食費などが必要ですよね。これらのことを、「費用」と言います。企業の費用はどんなものが有るかと言うと、売上を上げるための商品の仕入れやサービス、従業員に払う給料、家賃、借入金の利息支払いや手形の割引料などです。その他に、特別損失が、費用に該当します。例えば、持っている資産(土地・建物・備品・会社の車・有価証券の評価損失など)を売却しても損失が出た場合や、地震や火災などの災害による損失が、特別損失に値します。

 

特別利益と特別損失

ひとつクイズです。企業が持っている資産を売却した際に、お金に換金できた場合、それは利益でしょうか?損失でしょうか?

 

皆さま、一瞬、それは利益じゃないの?と思いませんでしたか?そこで、ここで持っている資産(土地・建物・備品・会社の車・有価証券など)を売却した場合の利益と損失の違いについて説明します。

 

この中で、一番理解しやすい投資対象の有価証券を例にご説明します。例えば、1株1000円で購入した株券があるとします。これを今売却したら1200円であるとするならば、1株につき200円の儲けになりますので、特別利益となります。800円で売却した場合は、1株につき200円の損失が出ますね。これは、特別損失となります。土地・建物・備品等は有価証券よりも複雑な経理処理があるため、詳しい説明は差し控えますが、損益計算書の特別利益や特別損失に数字がある時は、その内容をIR情報等で確認してみましょう。

利益とは?

最後に、「利益」とはどんなものを言うのでしょうか?家庭の家計簿から見た場合、給与から生活に必要なものなどを支払って、最後に残った残金を指します。つまり、貯金にまわせるお金のことですね。企業も同じです。収益から費用を全て差し引いた残りが利益となります。法人税や住民税を差し引いた残りを「当期純利益」と言います。

企業が自社の株式の配当金を株主へ支払う場合、この配当金は、損益計算上で「収益」・「費用」・「利益」のどれから支払われるでしょうか?

皆さま、これは企業が支払うお金だからと、一瞬、「費用」だと思いませんでしたか?実は、株主に支払われる配当金は、当期純利益から支払われます。外部へ支払うのに、どうして?と思いになったかと思います。では、考えてみてください。配当金はどんな時に支払われますか?

実は配当金は通常、利益があった時に支払うのが基本です。(利益が無かったとしても、前年度までの繰越利益剰余金がある場合などは、配当金が支払われることもあります。)利益の中から、株主に還元するのが、配当金です。

もし皆様が株式を購入した場合、配当金が貰える企業の株式を購入したいですよね。利益のある企業の株式を購入しないと、そもそも配当金が貰えない場合もありますし、利益の無い企業の場合、今後の企業の発展を含めて考えた場合、正直言って不安材料となります。損益計算書を見る時は、利益があるのか?配当金は利益から出されているのかどうかを確認する必要があります。

さて次回は、貸借対照表と損益計算書の繋がりについてお話します。

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